128
「なんと!では神は明日、新たな司書を選ぶと申されたのか?」国王陛下が興奮して仰られた。
「はい。私が明日、書庫に伺った際にお知らせ下さると」
「私がペガサスの生存をお伝えした時は、全然乗り気ではなかったのになぜ?」
「父上、リリベル嬢が書庫に入られる際、神様はリリベル嬢の事を「妹」と仰った気が致します」と第一王子殿下が仰る。
あちゃーそれ聞かれてたか。
「私も神が「妹」と仰られたのを聞きました」ザック殿下まで言っちゃったか。秘密にしておきたかったのに。
陛下はリリベルを見て仰った。
「その方は神の妹であったのか!」そんな訳がないだろう!!
王妃様も残念そうな目で陛下をご覧になっている。
「恐れながら父上、リリベル嬢は神様の妹神に似ておいでなのではないですか?」10歳児に突っ込まれているぞ!陛下。
「おお、そうだな。そうか。神が心を開いたのはペガサスではなく、神の妹に似たリリベル嬢であったか」
そうだよね。そうなるよね。
引きこもりの発端はペガサス失踪だったのだから。それがまさか妹に似ているらしい私で即解決して、ペガサスがついでだったなんて思ってもみなかったよね。
とにかく明日、司書が決まるのだ。東の人達は喜びと興奮の中、謁見が終わった。
そして、この後リリベルには何かあったらいけないと、物々しい警備が沢山付けられた。
「そのせいか、この警備は!」伯父が周囲に配備された騎士達をを見て溜息を吐いて言った。
しかし、もう一人の伯父は飛び上がって喜んでいる。
「300年振りの快挙だ!リリベル嬢スゴいスゴい!やっぱりベルの娘だ」そこで、何で父が出て来るのか?
「兄さんが、ずっと執着して離さなかった訳だ!」その情報も関係ないな。伯父も顔を顰めている。
「正直、ベルには嫉妬したし、兄さんに執着されて憐れだとも思っていた。それでも私はベルを虐めちゃったんだよな。ベルまだ怒っているかな?」
知るか!
その日の夕飯は凄いご馳走だった。
また大トカゲに出会ってしまったが、もしかすると大トカゲは特別な日のメニューなのかもしれない。
昼から復活してきた補佐官様に聞いてみたら、やはり特別な時に食べる料理らしい。本来は姿焼きが醍醐味らしいが他国のお客様にはドン引きされるので、ちゃんと姿が分からないように調理されるのだという。
南のジャングルにしか棲息していないので、頭数管理がされているそうだ。それに小さいサイズのトカゲは食べない。
それは子供だからとか、そういう理由ではなく、大きくないとドラゴンじゃないからだそうだ。そこはあくまでドラゴンに対する報復なのだな。
大トカゲは王都でも貴重な食材で、食べたいかは別として、あまり庶民も食べれないそうだ。補佐官様は苦手なのか、やはり大トカゲは食べていなかった。
あとデザートのプリンに小さな国旗が刺さってて、とても可愛かった。
ザック殿下が「お子様ランチか!」って言っていたけど、それは南の隣国のレストランで、国旗を刺して出す子供用のご飯セットの事を言うそうだ。まさに、それに似ているんだそうだ。
それにしても司書は誰がなるんだろう?
“国一番の本好き”って聞いているから、きっとリリベルの知らない人がなるんだろうな。