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 リリベルは、つい見慣れた顔のせいで「お兄様」と言ってしまったのだが、扉の中の人は目を大きく見開いて、それに応えるように「妹よっ!!」と、リリベルを凄い力で抱き締めてきた。

 リリベルは息ができなくて「ぐぇっ」となる。


 第一王子殿下が冷静に「神様、リリベル嬢が死んじゃいますよ?」と彼を見上げながら服を引っ張って下さって、やっと離されるが、そのまま書庫に引きずり込まれてしまった。

 「リリベル嬢!」とザック殿下の慌てる声が聞こえたが、それどころではなかった。


 リリベル嬢が中から出て来た金髪の男に、いきなり抱き締められたと思ったら、書庫の中に連れ去られてしまった。扉は当然、外からは開かない。神の領域なのだそうだ。


 俺は唖然と見ているしかできなかったが

 「リリベル嬢は大丈夫なのか?!」と聞くと、第一王子が

 「大丈夫です。多分、少し待てば出てくると思いますが…」と首を傾げて

 「やはりここで待つには長いと思うのであちらで待ちましょう」と応接室に連れて行かれた。

 俺が心配して扉の方を見ていると、第一王子が

 「ちゃんと見張りを置きますから。リリベル嬢が出てきたら知らせてくれます」と言った。


 彼らの乳母も侍女も護衛も慌てる事なく普段通りの様子だ。焦っているのは俺と俺の護衛達だけだ。

 俺が訝しげに彼らを見ていると、乳母が悟ったのか

 「ご心配なさらないで下さい。我が神は人を傷付けるような方ではありませんから」と言ったが、俺は

 「ちゃんと出て来れるのかが心配だ」と言うと

 「たまにある事なんです。相手はほぼ陛下なんですけれど。でもいつも1時間以内には出て来られますので」と言われた。


 マジか!

 「でも今日は少しでも元気そうなお姿が拝見できて宜しゅうございました」と暢気に東のヤツらは言っている。

 だがそもそもこの国では神が姿を現すのだなと、不思議に思った。北の国では女神が婿を取るというのだから、やはり姿を見せるのだろう。


 我が国では聖女や神官、選ばれた人には夢で姿を現すのだという。誰もが夢に出てきた人が女神だと一目で分かるらしいが、その容姿について述べた者はいない。

 一体、それは何故なんだろう?


 子爵家の手紙の内容では北の女神は美しいが、氷のように冷たい雰囲気だとあったな。

 そう言えば神はリリベル嬢を「妹」だと言って抱き締めていなかったか!?もしかしたらリリベル嬢の容姿は我が国の女神に似ているのかもしれない。

 髪が短いが…まさか、そこは違うよな。と色々、考えながら、時々、第一王子と会話をしリリベル嬢が出て来るのを待っていた。


 「リリベル嬢が出て来ました」と見張から報告が来た。

 急いで書庫まで駆け付ける。

 彼女の姿を見てホッとして、無事に出てきて良かったと思った。優に2時間くらいは待ったか?しかしリリベル嬢は30分くらいだと言う。書庫の中はどうやら時間の流れが違うらしい。

 さすが神が座す場所だ。


 俺は中であった事を聞こうとしたら、東の人々に止められた。

 リリベル嬢の最初の報告は国王陛下の前でされないといけないらしい。確かに神に関わる話だからな。

 俺達はまた初日に通された謁見室に向かう事になった。

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