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 夕食の場で、伯父が書庫の様子を話してくれた。

 陛下が扉の外から神様に呼び掛けると、恐らく陛下にしか聞こえない声で何か返答があったそうだ。


 陛下が「ペガサスは西の山で生き延び、子孫を残している」と伝えると、中から物凄い物音がしたそうだ。

 多分、神様が中で慌てて周囲の物を散乱させた音だろうと伯父が言っていたが、神様は何だか人間味がある気がするな。

 その後、陛下だけが中に入り30分程で出て来たそうだ。

 

 「陛下は何と?」ザック殿下が尋ねる。

 「中の散乱した物を片付けて出て来たそうだ」と伯爵が残念そうに言う。

 「ええぇっ!それだけ?」しかも陛下がお片付けだなんて!皆で唖然となる。

 「神様は繊細なんだよ。気持ちを落ち着けたいんだと陛下が仰ったんだ」

 なんてヘタレな神様なんだ。


 リリベルは子爵家の呪いの件を伯爵に聞いてみる。北の女神だけじゃなく神々にまつわる呪いとか聞いた事がないか?と。だが伯爵は何も知らなかった。やはり呪いに関しては北の国で調べないと分からないのかもしれない。


 翌日、リリベルはザック殿下を連れて、王妃宮の殿下達に会いに行く。

 「おはようございます。今日はアイザック殿下もお連れしましたよ」

 「わー真っ赤な髪の王子様だ」

 真っ先に興味を示したのは王女殿下で、走り寄って来たが、ハッと気付いてピタッと止まり、スカートを摘んで

 「ようこそアイジャック殿下、リリベルしゃま」って仰った。

 マジで可愛い。リリベルはキュンとなった。


 「良かったわ王女殿下、今日はちゃんとご挨拶できましたね」と乳母と侍女が嬉しそうに微笑んでいる。

 ザック殿下も王女殿下に挨拶し、王子殿下達にも挨拶されると、今日はザック殿下が3人に囲まれる。


 乳母が慌てていらしたが、ザック殿下が

 「構わない。私には下がいないから、弟、妹とはこんな感じかと思っている」とそう仰った。

 リリベルも末っ子だからその気持ち、すごく分かる。


 第一王子殿下が「ぼっ僕にも兄上がいないので嬉しいです!」と仰った。これにはザック殿下がキュンとなったようだ。

 顔を赤くされ照れておられた。


 ザック殿下も散々3人に赤髪をいじられ、満足した3人の案内で王城の書庫に向かう。

 やはりリリベルの両手は殿下達に握られている。でも今日の片方の手は第一王子殿下だ。

 第二王子殿下が涙ぐんだところにザック殿下が彼を肩車した。

 第二王子殿下は途端に機嫌を直して殿下の肩の上でご機嫌になられたが、第一王子殿下はそれを見て“はっ失敗した!”という顔を見せた。

 何て可愛い殿下達なんだろう。

 乳母も侍女も護衛達も微笑ましい表情で皆で書庫に向かった。


 書庫に着くと第一王子殿下が扉をノックしながら

 「書庫の神様、おはようございます。第一王子が参りました」と仰る。しばらく待つが何の反応も無い。

 「神様、今日は兄妹達と西の隣国からのお客様もお連れしているのです」

 何の反応がなくても王子殿下は会話を続けている。慣れているのかもしれない。

 「西の第三王子殿下と側近のリリベル嬢です。ペガサスはリリベル嬢の領地にいるそうなのです」

 

 その時、また凄い物音がした。

 神様、毎回、いちいち物を落とすほど動揺しているの?

 第一王子殿下が「リリベル嬢、扉の前に」と仰った。彼にしか聞こえない声で話をしているのだろうか?

 

 リリベルが扉の前に行くと、その時、書庫の扉が少し開いた。

 5センチ程の隙間から見てくる人がいる。

 えっこの人!リリベルは思わず「お兄様?」と言ってしまった。


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