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 卒業式を前日に控え、リリベルには異変が起きていた。


 「リリベルさん、あの…卒業式後のパーティーなんだけど、パートナーとまでは言わないから一緒に踊ってもらえないかしら?」

 と、さっきから最上級生のお姉様方から頼まれている。


 リリベルは生徒会の仕事で、卒業式の準備を大ホールで行っているところだったのだが、お姉様方が入れ替わり立ち替わり入ってきてリリベルに依頼してくる。

 横に殿下と生徒会長という最強タッグがいるというのにだ。

 しかも両隣りのメンズが目に入っていないのか、真っ直ぐリリベルの方に向かって来る。


 リリベルは生徒会の役員として卒業式と卒業パーティーは裏方で参加することになっている。在学生は午前中の1時間、終業式があり、その後に最高学年が入場して卒業式が始まる。

 卒業式後は一旦お開きで夕方から卒業パーティーだ。

 卒業パーティーは卒業生とそのパートナーが参加できるが、卒業生は特にパートナーがいなくても参加できる。


 「なあ、別に誘われたい訳じゃないけど、おかしくないか?マレシオン」

 「懐かしいですねぇ。昨年は私がリリベル嬢の立場でした」

 「何?さりげなく自慢?」

 「まさか。ですが、これはリリベル嬢の格好のせいでしょうねぇ」

 「お前、いつまでその制服着てるつもりだよ?確かに返さなくてもいいとは言ったけど」

 「私は殿下の令嬢避けだったはずですよねぇ?ちゃんと役割を果たしているのに何が問題なんですか?」

 「なんか気に食わないぞ、その言い方」

 

 リリベルは生徒会の仕事を理由にダンスを断ってはいるが、どちらかと言うと殿下の相手の方が面倒臭くなってきた。

 「ザック殿下、不満が多いですねぇ。欲求不満なんですか?ちゃんと別で発散して下さい。じゃないと当たられる側近は困ります」

 「なあマレシオン、俺の思っている側近のイメージと違うんだけど、側近ってこうなの?」

 「まあ色々って事で」「お前が言うなよ!」

 「いいじゃないですか。私が抜けた後は、殿下にも小言を言える側近が必要でしょう」

 そう、マレシオン様は来年は最高学年になるので生徒会を抜けるのだ。

 

 最高学年は卒業単位の取得もあるが、進路の選択や就活、婚活で忙しい学年だ。彼の場合は公爵家の後継の座も勝ち取らないといけないだろう。

 ただ生徒会を卒業するだけでザック殿下の側近を辞める訳ではないようだが。

 リリベルは来年はまだ生徒会があるから仕方ないが最高学年になったら、殿下の側近も抜けさせてもらいたい。

 正直、もう王族には関わりたくない。


 そんな事を考えていると、また新たなお姉様方がやって来て、ダンスのパートナーを依頼される。

 自分で撒いた種とはいえ、改めて“美し過ぎる侍従”の人気を身を持って感じることになってしまった形だ。

 伯母達には第三弾はどうする?と聞かれたが、さすがにもう無しだろう。人気のまま次作を惜しまれて終わるのがいいのだ。

 続けるなら18禁の方だけだ。そっちはドンドン侍従に堕ちる獲物を作ればいい。

 純愛は相手が一人だから純愛なのだ。


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