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 男装のリリベル嬢と女装の男爵令息はどっちが男女なのか最早分からなかった。音楽と共にスムーズな踊り出し。

 男性パートだとあんなに不思議な動きだった令息は、女性パートだと生き生きと可愛い笑顔を振り撒き踊っている。

 そしてリリベル嬢も危なげなくリードしている。

 誰かが「王子様だ」と言った。


 王子はコッチだぞ!と思ったが、確かにリリベル嬢の立ち姿や雰囲気は紳士そのもので、よく僅かな期間で仕上げたものだと感心した。

 小柄な令息はクルクルとターンもステップも軽やかで周囲を魅了する。

 そしてまさかのリフト!リリベル嬢は遠心力を上手く使って令息を持ち上げ、令息もタイミングを合わせて上手く跳び上がっている。二人の息が合わないとできない技だ。

 周囲も思わず感嘆の声を上げる。


 間違いなく満点を叩き出してくるだろう。

 アイザックは負けを悟った。が!しかし髪の毛まで切る必要はあったのか!

 アイザックはダンスで負けた事よりもリリベル嬢の髪型の方が衝撃的だった。

 最後のポーズを決めた後、二人のダンスは拍手喝采で幕を閉じた。



 「リリベル嬢!!何してるんですかー!」

 普段、生徒会室では叫ぶな!と、うるさい生徒会長が絶叫した。

 他の令息達も青い顔で見ている。

 ザック殿下も生徒会長と同意見なのか、怖い顔でリリベルを見ている。


 「何で、そんなに怒るのか…」とリリベルが弱気に言うと、

 「そんな事ではありません!髪は令嬢の命でしょう!」と仰った。

 リリベルは咄嗟に「かつら!かつらを地毛で作ってくれるって伯母が言ってました!」と言ったのだが。

 「そういう問題ではない!」とご立腹だ。

 何で側近だからと関係の無い生徒会長に怒られないといけないのか!リリベルも腹が立つ。

 「殿下の側近も令嬢よりこっちの方がいいんじゃないですか?要は令嬢が殿下に寄り付かなきゃいいんでしょ?」

 「リリベル嬢!」


 「リリアン嬢!あなたは何をしていたんですか!何の為にあなたを同室にしたのか!」

 「マレシオン様!」

 「!」今、生徒会長は何て言ったの?

 まさかリリアン様がリリベルに優しかったのは生徒会長のせいなの?

 リリベルの目に涙が溜まる。

 「うぅリリアン様?リリアン様は生徒会長の命令で私のお友達になってくれたの?」

 学院で最初に優しくしてくれたのがリリアン様だった。それは命令されてた事だった?リリベルは悲しくて涙が溢れてきた。

 「ふぇっリリアン様」

 「リッリリベル嬢あの…」途端に生徒会長もザック殿下も動揺し始めた。


 リリアン様がリリベルを抱き締める。

 「リリベルさん、ゴメンなさい。“緑色のベル”を見張れって最初は言われていたの。でもあなたとお友達になったのは強制じゃないわ。私もあなたが大好きよ」涙が溢れて止まらない。

 「ホント?」「本当よ。だからマレシオン様、私、今後はリリベルさんの監視は止めます。もう彼女を裏切れないわ」

 「うわーん!リリアン様」リリアン様がリリベルを優しく抱き締めて下さる。

 「ヒーロー達、酷い」シャーロット嬢がポツリと言う。

 生徒会長の失言で殿下と生徒会長の旗色が段々悪くなってきた。


 と、その時リリベルは高位貴族のお姉様方が騒ぎを聞きつけ生徒会室の前でザワザワと集まっているのに気付いた。

 リリベルは咄嗟に叫ぶ「お姉様方、助けてぇ!」それを聞いたお姉様方が生徒会室の扉を開けて飛び込んで来た。


 「まあ!リリベルさんどうしたの?何で泣いてらっしゃるの?」

 「生徒会長と殿下が酷いの…入学時から私をずっと監視してたの」

 「まあ!何てこと」

 なんとお姉様方は今朝の登校時のリリベルの姿を見て以来、味方に変わっていた。

 お姉様方は口々に仰る「こんな可愛いリリベルさんを監視してイジメるなんて!」「お姉さま〜」「まあまあ!私達はあなたの味方よ」

 形勢逆転だ!

 

 別に狙った訳じゃない。

 本当にリリアン様の事は悲しかったのだ。でもおかしいと薄々思っていた。

 1組で優秀で伯爵令嬢のリリアン様がリリベルと同室なのは何かあるのでは?と。

 でもリリアン様はいつだって親切でリリベルをいつも心配して助けてくれる人だった。例え生徒会長の手先だったとしても嫌いになれるはずがない。だがリリアン様を手先として送り込んだ、この二人は許せん!


 リリベルはここぞとばかりお姉様方を煽る。

 あっという間に生徒会長も殿下もピンチに陥った。

 結果、二人は謝った「言い過ぎました」そして「もうリリベル嬢を監視するような事は二度と致しません」

 二人して誓って貰ったからね!

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