閑話
北の外交官達が捕まった直後くらいのお話です。
「兄さん、久しぶりだな。元気そうだ!」
「お前もな。そちらの侯爵家はどうだ?」
「まだまだだよ。やっと長男が結婚したし、長女は…あれは結婚しないかもな仕事一筋だ。私も早く兄さんみたいに引退したいよ」
「それはまだ遠そうだな」
「そうだなぁ。それより次男から話を聞いたんだけど、ベルの所の子爵領だけどさ…」
「ああ、なかなか北との因縁が払えないなベルも。婿入りしたのが北との国境の領地だし仕方ない。それに国境を守っているのもマリベルだ。何か女神様のご意志があるのかもしれないな」
「確かになぁ」
「なあ兄さん、そのベルのとこの末っ子のリリベルちゃんなんだけど、次男が気に入ってるんだよね」
「じゃあお前の息子に頑張るように言うんだな」
「そうだなぁ。学院が一緒の第三王子に比べると不利だが、子爵領への派遣はラント君かうちの息子だ。リリベルちゃんが愛する子爵領を抑えれば、どうにか勝てるかな?」
「さあなぁ」お前も神殿への寄付を弾んだんだな。
「ライバルは多分、第三王子だけじゃないぞ」
「公爵令息か?」
「どの公爵令息かな?」「!」「マジか…」
「なあ兄さんでも、どうにもできないのか?」
「言っとくが、私はベルの子供達を手助けはしても、どうこうした事はないぞ」
「そうか。妖精だもんな。ハハハハハッ」
「だからお前の次男への協力もしないぞ」
「言っとくよ。きっと自分で何とかするだろ」
「ところで兄さん、米酒残ってない?弟が凄く美味かったって言うんだよ」
「ああ、そういえばリリベルに土産に持たせたな。後で一本用意しとくよ。ララベルに感謝するんだな」
「ララベルちゃんも大成したんだな」
「伯爵領にも行ってきたのか?」
「そうお祝い持ってね。だって20年ぶりじゃないか」
「ねえベルの子供達、今更だけど面白いよねぇ。弟もさ、ベルの子供達って一体どうなってんの?って言ってたから、クマの剥製のお陰じゃないの?って言ったら、真剣にクマを見てたわ。オモシロッ」
「お前、弟をからかうな。あいつは要領はいいが純粋なんだ」
「そうか。だからあんな変な任務に騙されたんだな」
「もう過ぎた事だ」
「ああ。ゴメン。でもライオットがあいつに似てないか?」
エリオットはお前に似ているぞ。
「お前、ライオットももう公爵だぞ」
「そうだった!変わんないから忘れそうになるな。長女も何気にライオットには礼を尽くしてたわ」
「そうだ!兄さん、あの変な小説、あれは兄さんの奥方達の仕業なのか?舞台まである」
「リリベルも私も一枚噛んでるが?」
「うわーマジか。身内を売り物にするか?普通」
「そんな事言ってると、お前にも登場の権利を与えるぞ」
「勘弁だな。もう黙ってる。でもあのマティアス氏の絵画は手に入らないかな?聖女様の絵を描き出してからスゴい人気だろ!?もう値が張り過ぎちゃって手に入らないんだよな」
「あれはリリベルに言わないと駄目だ」
「リリベルちゃんって、どうなっているのかな?私の次男が好きになってもいい子なんだろうか?」
「それは自由じゃないかな。リリベルも気にしないだろう」
「気にしない…か。妖精にお義父様って言われたいな」
「伯父様で我慢しとけ。あとは息子の頑張り次第だろ」
「なあ東の弟は元気かな?」
「孫が産まれたって言ってたぞ。春にリリベルと会いに行く予定だ」
「そうか。宜しく言っといてくれよ。はー、ベルにはもう2人も孫がいるのにな」
「孫が産まれても、いつでも会えるわけではない」
「そうだな。ベルが次に王都に来るのはいつかなぁ?」
「残りの3人が結婚する時じゃないか?」
「そうだな。俄然、次男を応援する気になったわ。じゃあな兄さん。また今度。私もしばらく王都にいるから」
「ああ」
私の2番目の弟は騒がしく訪れて、騒がしく帰って行った。
それにしてもリリがマリィよりモテるのか。
案外“緑色のベル”は人を誑かすのかもしれない。王太子の所感は合っている。
特にリリベルは酷いな。面白いから目が離せん。
ベルナルド!領地は任せた。
いつもご覧頂きありがとうございます。
また、毎回お話へのリアクションや誤字報告など感謝致します。
このお話も100話を越えました。書き始め当初の予定よりも連載が長くなっております。
これも皆様が読んで下さっているお陰だと思っております。
拙い文章ですが、もうしばらくお付き合い宜しくお願い致します。
リリベル達が春休みに入ったら筆頭侯爵家の5人兄弟もやっと全員出せそうです。
東の国で、膨大な親族もほぼ全員、出揃う予定です。
“水色のベル〜”より増えた分の家族構成も、その内、投稿させて頂きます。
まだ、しばらくリリベルさんの恋愛相手は定まらないようです。
夏休みに南の隣国に行けば決まるかな?
今後もリリベルさんの恋愛コメディをお楽しみ頂けると幸いです。