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 次の日の放課後、男爵令息の彼氏に来てもらい、二人の普段のダンスを見せてもらった。

 「リリベル嬢にお見せするなんて恥ずかしい限りです」と言っているが、彼のリードはなかなかだった。

 恐らく男爵令息限定なんだろうけど、彼を可愛く見せるのに特化したリードだった。


 そして令息が言っていたリフトだが、持ち上げるというよりも振り回す?感じだった。だって彼氏の令息も細身で筋力がありそうではない。彼を遠心力で振り回してリフトのように見せている。

 それはパートナーの令息も動きを合わせているからできる技だ。


 なるほどこれならリリベルもできるか!?パートナーの令息を可愛く見せることができたらリリベルの評価にもつながる。

 ならリリベルも彼のリードを学ぶべきだ。


 もう基本の振り付けは頭に入っているから、令息が普段慣れているリードにリリベルが切り替えるだけだ。

 それだけで彼は勝手に自分で見せ場を演出する。

 あと3日だが多分できる。可能だろう。

 令息の彼氏さんは喜んで協力して下さった。最高学年の彼はもう卒業単位は取得済みなので、今回の期末試験は受けるだけで良いそうだ。

 三人で残りの3日間ラストスパートだ。


 「リリベル、試験中だろう?帰ってきて大丈夫なのか?」

 「うん。明日はもうダンス実技のテストだけだから」

 「リリベルちゃん、本当にいいの?こんな綺麗な髪の毛切っちゃうの?」

 「バッサリお願い!」


 リリベルはダンス実技の試験で男性パートを踊ると決めてから、髪型を悩んでいた。男性役だからまとめて短くしようと思っていたが、どんなまとめ髪にしても女性同士が踊っているようにしか見えない。

 別に踊れればいいので、そこまで求められてはいないが折角なら完璧にやりたい。殿下に制服まで借りたのだ。腰近くまであった長い髪を耳の下まで切ってしまう。

 

 「リリベルちゃん、イクわよ!」バサリと音がして首が涼しくなる。

 鏡の中の自分は少年のようだった。

 髪が短くなるだけで、こんなにイメージが変わるのか!リリベルは新しい自分を見つけたみたいで嬉しくなる。

 「わー可愛い」伯母もアイオット様も侯爵夫人も絶賛してくれた。

 伯父は卒倒していたが…。


 ダンス試験当日の朝、リリベルが令息の制服で登校すると周囲が騒がしくなる。

 「あの子誰?あんな子いた?」

 「ヤバい!美し過ぎる侍従のイメージそっくりじゃない?」

 「やだ誰なの?転入生なんていないわよね?」

 「ちょっと1学年の学舎に入るわよ」「ええっもしかして?」

 「だってもう妖精は5人で終わりでしょ。だったら!?」

 「えっまさか!?」

 髪を短くしただけで、こんなに大騒ぎになるなんて思わなかった。令嬢の時も、ここまで騒がれなかったのにとリリベルは意外に思う。


 教室に入ると一瞬でシーンとなる。皆、目を丸くしている。

 まさかリリベルと分からないのか?一年近く一緒に学んだ仲なのにと寂しく思っていると、侯爵令嬢が

 「リリベルさんなの?」と聞いてきた。

 「そうですけど」と返すと「イヤァ〜!!美し過ぎる侍従がいるぅ!」と叫んだ。

 他の令嬢達も大騒ぎだった。


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