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 「リリベル嬢、これお借りするだけじゃなく、いただいてしまっていいんですか!」

 「うん。もう誰も着ないから大丈夫」ララ姉の制服は男爵令息にピッタリだった。

 もしかして同じ体型だったの?


 そしてルト兄の制服はリリベルには丈が合わなかったので、ザック殿下のをお借りしたら、これまたリリベルにピッタリだった。

 言い訳しとくと、ちょっと腰は余ったよ。


 学院の制服は動きやすいように工夫されている。

 女子の制服は丈が長めのフレアスカートでダンスも作法もこなせる優れたデザインだ。

 学院創立からデザインも変わっていないらしいが、伝統を重んじる貴族達は誇りを持って着ている。

 リリベルもシンプルだが着心地が良く、動きやすくて気に入っている。


 王都にある、もう一つの試験を通れば誰でも通える王立学園の方は、もっとデザインも最新だ。

 卒業生がデザインしたりして時々変わったりもしているらしい。王都でもよく見かける。彼らは放課後に制服のままよく王都の繁華街に遊びに行くそうだ。


 でも貴族の令嬢、令息は制服ではやらない。

 学院の品位を守るためだ。例え制服で街に出ることがあっても貴族専用の店で顧客用の個室を利用する。この学院では下位貴族でも伝統を重んじる貴族ばかりだ。


 学園物の小説では貴族や王族が制服で放課後、王都の流行りのカフェなどに遊びに行ったりするが、それはフィクションならではだ。


 「ザック殿下、制服ありがとうございました。なんとピッタリでした」

 リリベルが生徒会室で殿下にお礼を言うと、

 「もう着ない服だから構わない。お互い、ダンスの試験は正々堂々頑張ろう」と仰った。


 確かにお互いになかなかのハンデだった。失敗すれば暫定2番手3番手のペアに点数で負ける。テストだから他のペアと競うものでもないのだが、成功すれば評価される。

 リリベルにも殿下にも期末試験の中ではダンスが一番の関門だっただろう。


 試験は午前中に筆記試験があり午後から実技だ。

 3組のダンス試験は最終日の5日目にある。だから試験後もダンスの練習は続けている。

 もう1週間以上も踊り続けているせいで、お互いにも慣れてきた。かなり見せれるようになったのではないだろうか!


 「ねぇ、リリベル嬢、このまま普通に踊れるだけなら点数は普通かなぁ?」

 と男爵令息が練習の合間の休憩時に聞いてきた。

 点数は10点満点中、振付けもステップも間違いなく踊れただけなら5点だ。そこに技術点が加算されていき満点になる。

 姿勢がブレない、笑顔が加われば7点は固い。そこに華麗さ美しさなどの見せ場があれば更にポイントが加算される。それはターンなどで見せれると効果的だ。


 更にリフトや難易度のあるステップを加えると満点に近く取れるが、ワルツなので三拍子のステップさえ守れれば高難度のステップもリフトも基本は必要ない。

 どちらもお互いが息を合わせないとできないからだ。


 さすがにリリベルも彼とそれは難しいかなと思っていたので

 「そうですねぇ。我々は7点取れたら上出来ではないですかね?」と言うと

 「ねえリリベル嬢、僕、彼氏となら、いつも持ち上げてもらっているよ」と言ってきた。

 

 それはリリベルに「僕を持ち上げろ!いや彼風に言うなら、僕を持ち上げてぇ!」って事ですかな?と目が胡乱げになる。

 大体、いつどこで彼氏と踊っているんだ?とリリベルは思っていると、なんと二人共すでに色んなパーティでデビューしているらしい。


 リリベルはつい「ドレス着てるんですか?」と聞いてしまった。

 だが彼は「モチロン!」と満面の笑みで返して来た。

 もう驚くのは止めた。それすらもったいない。

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