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全くマズい令嬢とダンスのペアリングにされた。
よりによってメロン嬢だ。今まで彼女のメロンによって医務室に送られた令息は数知れない。
しかしリリベル嬢の相手に比べればまだマシか!?なんせ男爵令息はダンスの構えの後、音楽が流れ始めると不思議な動きを始めるのだ。なんか内股でバタついている。
今まで授業をどうやって乗り越えてきたのか謎だった。
ジャスミン嬢が「今まで令息達と練習してなかったっけ?」と言っていたが、まさかな。他人の心配をしている場合ではないな。今は自分の方だ。
クラスの令息達が「殿下!大丈夫ですか?」と心配してくれる。
メロン嬢本人もだ。だがしかし本人も自身で制御できないメロンなら仕方ないだろう。
とにかくメロン嬢はメロンのことより体力が無い。
まずはダンスを最後まで踊り切らなければ失格だから、そこからだ。とにかく振り付けより先に体力作りのマラソンだ!
どうやら毎日のランニングのお陰か、ずいぶん踊れるようになってきたな。しかしメロンは相変わらずか。こんなに運動しているのに少しは痩せないのか?と思ったが、
「運動すると食事が美味しくて」と言っていた。
その分食べていたのか…まあこちらは最後まで踊ってくれるならそれでいい。
しかし食べる量はリリベル嬢とどっちが上なんだ?リリベル嬢は食べるのにあの体型だが。
そう言えばシャーロット嬢が「栄養が脳みそにも行っている」と以前言っていたか?だとすれば納得だ。あの賢さは栄養を別で消費するのだろう。
だがリリベル嬢は見た目よりも重い。
なんか詰まっている感じがする。お陰でダンスの為に筋力を鍛える羽目になったが、今はメロン嬢のお陰でランニングにより身体が更に絞れている。
兄も義姉上に合わせてサッパリ高タンパクメニューにされていたが、義姉上が出産された後も同じメニューを続けておられる。
俺もそれに便乗しているがプラス揚げ物を一品お願いしている。
話は逸れたが、後はメロン嬢の踊りの技術だ。高度なものは求めない。ただ普通に踊ってさえくれればそれでいい。ダンスは男性側のリードでも見せることができるしな。メロン嬢を持ち上げるのは、さすがに無理だが支えられれば見せ場は作れる。
実技で少しでも点を稼がないと首席は厳しいとマレシオンに指摘された。
確かに学力テストは満点を取っても同点だ。リリベル嬢は間違いなく満点を取ってくる。
王族のプライドにかけて負けられないな。
それに、どんなに体中にメロンが当たろうが俺にはもう抗体ができているのだ。あの時、俺を抱き締めたリリベル嬢に感謝だな。
それに俺はメロンより断然リンゴ派だ!
兄上は妊娠中と出産直後の義姉上がキウイからマンゴーになるとお喜びだったが。そんな萎むマンゴーは無しだろう。
「断然リンゴだ!なっフィリップ!」「?」
「ザック様?確かにリリベル嬢からお土産にいただいたリンゴは美味しかったですが」
「ああ済まない。こっちの話だ」ふう危ないな。
だが、やっぱりベテラン侍従のフィリップにはお見通しだった。
「確かにメロンは凶器のレベルですね。私も手のひらサイズのリンゴ派です」と。
フィリップ!!手のひらサイズだなんて!俺はそこまで言ってないぞ!
手のひらか〜そうか手のひら…さすがフィリップ、年の功だ。
決してメロンを否定するものではないぞ。
それにリリベル嬢がリンゴというわけでも…ない…か?
ダメだ!また思い出すと心臓に悪い。とにかくメロンは好みでないのだ。
俺はメロンに打ち勝てるぞ!とこの時までは思っていたな、俺。