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 まもなく学院では期末テストが始まる。

 期末は筆記試験と実技試験もある為、5日間に渡る。

 実技は一人ひとりを見るものが多いがダンスは男女ペア試験だ。ペアは令息の暫定一位と令嬢の暫定最下位が組むことになっている。つまりリリベルは殿下ではなく、一番下手な令息と組むのだ。

 

 令嬢は人数が少ないので2回踊る人も出るが2回踊る令嬢は上手く踊れた方が加点されるので、最初に下手な令息と組む令嬢は2回目がお得になる仕組みになっている。


 リリベルの1回目のお相手は男爵令息だ。あの朗読で侍従役をやった園芸クラブの令息だ。

 彼にはあれから、腕で薙ぎ払われた日の事を詫びられている。

 「僕、何であんな事、言ったりしたんだろう?しかもリリベル嬢を押すなんて」と泣きながら。

 まあ、あの時はクラス全員、変な洗脳にかかってたよね。だから仕方ないと直ぐに許した。

 悪いとしたらシャーロットだが、お陰で最高得点をもらっているので文句も言えない。

 

 だが男爵令息はとてつもなくダンスが下手だった。リリベルをリードするどころではない。何度やっても動きが違うのだ。決してリズム感が無い訳でもない。一体何が原因なのか?

 あまりにも彼が酷いのでリリベルは教師から

 「彼を普通に踊らせれば合格点をあげる」とまで言われ、二人目とのダンスも免除されたが、どうしたらいいの?


 暫定一位の殿下のお相手は少しふくよかな伯爵令嬢だ。彼女はその体型で動きのある実技を苦手としている。あと体力がついていかないらしく、ダンスの中盤で既にゼイゼイ言っていて汗もすごい。こちらも大変そうだ。


 しかし彼女はとても愛嬌のある女性で皆に愛されており、何より体型よりも彼女の立派なお胸に目が行ってしまう。貴族令嬢はホッソリしている方が多いので男女問わず彼女のお胸は崇拝対象だ。

 つまり彼女の技術と体力もだが、男性側も彼女のお胸に抵抗できないといけない。

 

 これまでの練習では男性陣はほぼ撃沈している。彼女のお胸がボヨンボヨンと弾むし男性側の胸や腕に当たるし、何名も鼻血を出した。恐るべしだ。

 そんな彼女を相手する殿下だが、まず冷静に「体力作りだ!」と言っている。

 うん頑張って!と側近として、とりあえず応援しておく。

 殿下のように首席を狙っているわけではないが、リリベルも他人事ではない。


 いつも令息達を教えているシャーロット嬢にコツを聞いてみたが、シャーロット嬢も

 「特別なことは何も。教師と変わらないと思いますが。でも、あの男爵令息はちょっと酷いですね。リリベルさんのヒロインパワーで頑張って下さい」とあっさり見放されてしまった。


 ヒロインパワーってどうやって使うの?

 ちゃんとそれも教えていけよ!と思ったが、シャーロット嬢は3人と踊るから練習の相手が大変なんだそうだ。

 私が男爵令息一人担当だからシワ寄せがいったのだ。他にもダイアナ様や侯爵令嬢も3人担当だ。

 それでも皆が男爵令息を悪く言わないのは、やはり学院祭での団結力と令息が主役を頑張ったからだろう。


 こういうクラスの団結力って青春って感じするな〜と嬉しくなるが、逆にリリベルが男爵令息をまともに踊らせないと、非難されるのはリリベルの方かもしれない。

 ヤバいじゃん私!


 放課後、令息と話をする。何か理由があるのではないか?彼の男爵家はわりと裕福だったと思う。

 それに男爵家なのに3組に入っているから優秀なはずなのだ。

 しかし、よくよく聞いてみると理由は実にシンプルだった。

 彼は女性パートしか踊れないと言ったのだ。


 「何だ〜先に言ってよ〜!」ってなるかい!

  何で女性パートなの?

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