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愛してるって言わないで  作者: Mariko
やっと愛してると言える
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9

「ねえ、真野さん」

 だいぶ身体の自由が効くようになって、真野さんの胸の上で呼びかけた。

「ん?」

 私の髪をすきながら、真野さんが応じる。


「何ともないんですか?」

「何が?」

「だって、私いま、真野さんに呪いをかけたのに」

 

 一生、愛します、なんて。

 これ以上ない、呪いの言葉だ。


「あ」

 真野さんが思い出したように手を止める。

「ふふ、襲いたかったらどうぞ」

 いたずら心を出してそう言ったら、頬を軽くつねられた。

「呪いがかかったなんて嘘だ。一瞬ビビったけどな」


 頬をつねった指で、今度は私の頬を撫でてくる。

「悪かったな。呪いのことを持ち出すなんて、冗談にしてもタチが悪かった」

 私の目をまっすぐに見つめて、謝ってくる。

 

 ああ、やっぱり私、この人のことが好きだ。

 

「いいですよ」

 しおらしく謝る真野さんがかわいくて、ますますいじめたくなった。

「呪いをダシにするくらい、私とシたかったんでしょ?真野さんって意外と自制心ないですよね」


「お前な。俺がどれだけ我慢……」

「え、わっ」

 体勢が逆転して、真野さんが上になる。


「自制できないから、もう一回してもいいか?」

 その目が本気っぽくて、慌てる。

「だ、だって、満足したって……」

「もう足りねえ」

「ちょっ、もう無理、真野さん……んむっ」


 思わず目を閉じたら、キスが落ちてきた。

 目を開けると、真野さんは笑みを含んだ瞳で私を見下ろしていた。


「か、からかったんですか?」

「何がだ。キスの話だぞ。何だと思ったんだ?」

「き、嫌い」

「俺は好きだ」

 嘘をつく私ごと抱きしめるみたいに、真野さんが囁く。


「ずっと我慢してたんだ」

 その甘い瞳が、次の言葉を予告している。

 もうひとつ、キスを落としたあとで。


「やっと、愛してると言える」



                      完

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