5
ホテルの部屋に入った途端、噛み付くようにキスをされた。
その勢いが強すぎて、ドアに頭をぶつける。
真野さんの手が、確かめるように私の身体に触れながら、カーディガンを脱がしていく。
「待って」
私のTシャツをめくりあげようとする真野さんの腕を、慌てて掴んだ。
「私、あの時より歳取ってます」
「俺もだ。それがどうした」
「あの時より太ってるし、その、見られるの、恥ずかしい……」
「ますます見たくなるじゃねえか。見せろよ」
「待っ、シャワーを……。せめて、シャワーを浴びさせてください」
何度も身体を重ねたはずなのに、なぜかすごく恥ずかしい。
私の懇願に、真野さんは息だけで笑った。
「俺には浴びさせてくれなかったくせに」
自分が興奮状態になった時のことを思い出す。
あの時の私は、シャワーを浴びるのを待つ余裕すらなかった。
「忘れてください」
呪いのせいだ。
あれは、本当の私じゃない。
「一緒に入るか」
私のTシャツから手を離して、真野さんは自分の着ているポロシャツを脱ぎ捨てた。
いきなり露わになった肌に、落ち着かない気持ちになって俯く。
「ひ、ひとりで、入ります……」
我ながら消え入りそうな声でそう主張する。
真野さんは、何も言い返してこなかった。
恐る恐る上目遣いで様子を伺うと、頭をかいていた。
「嫌だったか」
私と目が合って、真野さんがそう尋ねてくる。
「え?」
「ここまで強引に連れてきて何だが、今ならまだ引き返せる。嫌なら、無理には……」
ズルい。
そんな風に言われたら、逃げられない。
「嫌なわけじゃないです」
本当の気持ちを言うしか、なくなる。
「私だって本当は、したいです。ただ、真野さんと初めてするみたいで、なんか、恥ずかしくてたまらなくて……」
強い力で抱き寄せられた。
「これ以上、興奮させんな」
真野さんが、唇を重ねて、舌を絡めてくる。
「真野さん……」
少し抵抗すると、あっさりと私を解放した。
「いいよ。行ってこい」
「え?」
「待ってるから、シャワー浴びてこいよ」
私にそう言った真野さんは、見たことがないくらい色気があって、ますます落ち着かない気持ちになった。




