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「お、俺……」
真野さんが、驚きに満ちた表情で私のことを見つめてくる。
「お前も、思い出したのか?」
訊かれて、慌てて大きく頷く。
何度も頷く。
この記憶が消えてしまわないように。
奇跡みたいだ。
また、真野さんのことを見つけることができた。
作り変わった世界の中で。
「亜希」
啄むようなキスを落としてくる。
「好きだ、亜希ーー」
キスの合間に、何度も真野さんが囁いてくる。
離れていた時を埋めるように。
「真野さん、好き」
私も応える。
「大好き」
何度も応える。
答え合わせをするように。
永遠にこうしていたい。
そう願った。
のに。
真野さんは急に身を引いて、口を手の甲で覆った。
その目には、恐怖の色が宿っている。




