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愛してるって言わないで  作者: Mariko
忘れられない
80/89

5

「悪かったよ」

 俯く私の顔を覗きこむようにして、真野さんが謝ってくる。

「信じられなかったんだ。夢みたいで」


 やっぱり、私の思い違いじゃなかったのだろうか。

「えっと、真野さんも、私のこと……?」

 確信が欲しくて、言葉を求める。

 けれど。


「言わなくても分かるだろ」

 ひらりとかわされてしまった。


「ズルい。私には言わせておいて」

「お前が勝手に言ったんだろ」

 そうだけど。


「じゃあ、キスしてください」

 自分の唇を指さして言った。

「はあ?」

 真野さんがわかりやすく動揺する。


 かわいい。

 絶対、キスしたい。


「好きって言ってくれないんだったら、キスしてください。じゃなきゃ、真野さんが私のこと好きだなんて信じられないです」


 真野さんは少し逡巡する様子を見せたけど、慌てたように首を横に振った。

「できるか、こんな場所で」

「ここじゃなかったらいいんですか?」

「うるさい」

 

 音もなく、幻想が浮かび上がる。

 私は、その唇に触れたことがある。

 何度も、唇を重ねたことがある。


「分かった。好きだ。好きだよ。これでいいだろ」

 降参だというように両手をあげて、真野さんはやっと好きだと言ってくれた。


 でも。

 もうダメ。

 私はもう、このデジャブを確かめずにはいられない。


「待ーー」

 真野さんが制止するのも聞かずに、その頬を引き寄せて、キスをした。


 真野さんは、固まってしまったように、動かなくなった。

 抵抗が消えて、体勢を変えるために一瞬唇を離す。


 そして、再び触れた時ーー。


 私はすべてを思い出した。

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