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愛してるって言わないで  作者: Mariko
忘れられない
79/89

4

「あ、ああ、あれか。あれだよな」

 真野さんがうわずった声で言う。

「反対言葉を喋ってるんだな。そうだろ。俺のことが嫌いすぎてどうしようもないって、そう言いたいんだろ」


「え、いや……」

「否定しなくていい」

 私に反論の隙を与えないまま、真野さんは続ける。

「あれだろ、プリンもキモかったよな。悪かったよ、変なことして。もう近づかないから」


「待って、真野さん」

 立ちあがろうとしたのを、呼び止めた。

「ひどい。ひどいです。そんなフり方ってないです。私も急にこんなこと言って悪かったですけど、本気なのに」


 反対言葉を喋ってるとか、意味不明だ。

 好きなら好き、嫌いなら嫌いだと伝える。

 そんな当たり前のことすら揺らぐなら、世界が壊れてしまう。


「そりゃ、こっちのセリフだ」

 真野さんが私から顔を背けて言う。

「お前、俺の気持ちに気づいてるんだろ。それで、遠回しにフッてるんだろ。嫌なら嫌だってはっきり言えよ。こっちは勘違いしそうになる」


「真野さんの気持ちって、何ですか?」

 勘違いって……?

「もしかして、真野さんも私と同じ気持ちってことですか?」

 我ながら都合の良い解釈だ。

 そう自覚しながらも、確かめずにいられない。


「お前……」

 身を乗り出す私を見て、真野さんは戸惑ったようだった。

「まさか、本気で言ってるのか?」


 頷く。

 私のどの発言のことを言っているのかは分からないけど、とりあえず全部本気だ。

 

「本気で、俺のことが好きだから大学辞めるとか言ってんのか?」

 真野さんが、念押しするように再び確認してくる。

 

「はい。本気で言ってます」

「何でだよ」

 間髪入れずつっこまれた。


「だって、好きすぎて迷惑かけちゃう」

「馬鹿なのか」

「馬鹿じゃないです」

「馬鹿だろ。そんなことで辞めるとか」

「ひどい」


 本当に、ひどい。

 こんなに悩んでるのに。

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