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愛してるって言わないで  作者: Mariko
忘れられない
78/89

3

「すみません、ウザ絡みして」

 やっと理性が降りて来て、頭を下げた。

「ああ。酔っ払ってるだけだよな」

 真野さんはホッとしたようだった。

 そりゃそうだ。こんなの、面倒くさいだけだ。


「私、大学を辞めようと思います」

 覚悟を決めて、そう宣言した。

 このままじゃ、みんなに迷惑をかけてしまう。

 私は指導官の立場なのに。


 真野さんは、すぐには何も言わなかった。

 理由も聞いてくれないんだと思って、心が壊れそうになった。


「やっぱり、何かあったんだろ」

 腰を浮かしかけた私を引き留めるように、真野さんは優しい口調で言った。

「学生にまた何か言われたのか。気にするなと言っただろ」


「違います」

 真野さんの勘違いに気づいて、即座に否定する。


 学生に陰口を叩かれるのはつらいけど、そんなことで辞めようとは思わない。

 真野さんにそんな弱い人間だと勘違いされたまま、別れたくなかった。


「じゃあ、何があったんだ」

 まっすぐに見つめられて、目を逸らした。


 一緒にいたい。

 一緒にいたくない。


「言いたくないなら、言わなくていい」

 真野さんがスッと遠のく気配がする。

「ただ、俺に変に気を遣っているのだとしたら、許さないからな」


「真野さんのせいです」

 言うまい、言うまいと思うのに、口が言うことを聞いてくれない。

「俺のせいか」

 真野さんが傷ついた顔をする。


「好きです」


 教えてほしい。

 この想いを押し留める方法があるのなら。


「真野さんのことが好きで、大好きすぎて、もうどうしようもないんです」


 私の告白に、真野さんが短く息を吸うのが分かった。

 引かれた。

 こんな、研究室に私情を持ちこむような人間、真野さんは一番嫌いだろう。

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