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合宿1日目の晩。
学生たちの勢いにつられて、つい飲みすぎた。
酔いを覚ますために、ひとり、外に出た。
日中は汗ばむくらいの陽気だったけど、4月下旬の晩は涼しく、火照った頬に夜風が気持ちよかった。
波打ち際に降りると、月明かりに照らされた海が美しい。
石段に腰掛けて、波の音に耳を澄ませた。
目をつぶると、目の前に明るい海が広がっている。
隣には真野さんが座っていて、それなのに私は、途方もない悲しみに暮れている。
『海を見てたら
悩み事がちっぽけに思えるっていうけど、
この悩みは、全然、小さくならないみたい』
耐えきれずに泣き出した私を、真野さんは何も言わずに抱きしめてくれた。
何度も、何度も、私の涙にキスをしてくれた。
ああ、やっぱり、私はおかしい。
こうやって時々、真野さんに愛される夢をみる。
これは、浅ましい願望の現れなのだろう。
願望が膨れ上がって、制御できなくなる前にーー。




