表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
思い出せない
73/89

4

「橋本先生って、真野さんより年下ですよね」

 学生は、私の話題を広げた。

「ああ。それがどうした」

 真野さんがそっけなく答える。


 やめて、と思った。

 学生が言おうとしていることが、予想できて。

 

「悔しくないんスか?真野さんの方が論文もたくさん書いてるのに」

 私の予想は的中した。


「何がだ」

「だって、みんな言ってますよ。真野さんが准教授になるべきだったって。

橋本先生って、教授のコネで准教授になったんじゃないスか?あの人、アメリカ行ってただけで、大したことしてないッスよね」

 学生は不満げな声でそう訴えた。


 胸がギュッと苦しくなる。

 私が准教授になったことをよく思わない学生がいることは、知っていた。

 真野さんの指導を受けている学生は特に。


 でも、いざ生の声を聞くと、ショックだった。

 真野さんが同調するのを聞いたりしたら、きっと私は立ち直れない。


 移動しようと思って、空いている席を探していると、ガチャンと食器が鳴るのが聞こえた。


「勝手なことを言うな」

 唸るような声で真野さんは言った。


「橋本先生がどれだけ努力してきたか、お前知らないだろ」

 ボソボソと聞き取りにくい声だったけど、真野さんは、確実に私のことを庇ってくれた。


 食堂の片隅で、もう少しで泣きそうになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ