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愛してるって言わないで  作者: Mariko
思い出せない
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2

「ひとりで食堂に行く気?」

 壁時計を見上げる私に、恭子さんが尋ねてくる。

「しょうがないじゃないですか」


 恭子さんが付き合ってくれないなら、ひとりで行く以外に選択肢はない。

 今から食堂に行くか、少し待ってから行くかの二択で迷っていただけだ。


「あ、真野くん誘ってみたら?まだいると思うわよ」

「な、何でよ」

 動揺して、思わずタメ口になった。

 私の真野さんに対する想いが、バレているのかと思った。


 真野さんは、私の3学年上の先輩だ。

 私がアメリカに行くタイミングで、博士課程を修了して、この研究室の講師になった。


 アメリカから戻って来て2週間経つけど、真野さんとはあまり話せていない。

 それなのに、想いは日増しに強まる一方だ。


「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。真野くん、愛想はないけど良い子よ」

 恭子さんが宥めるように言う。


 そんなの、知ってる。

 知ってるから困ってるのだ。


 学生の時から、真野さんは雲の上の存在だった。

 たくさん論文を出して、学会では優秀賞を受賞しまくっていた。

 そんな真野さんに対して、憧れを口にすることすら、おこがましいと思っていた。


 少しでも真野さんに追いつきたくて、アメリカに行くことを選んだ。

 それなのに、ろくに実績も残せないまま、ビザが満了して、このラボに舞い戻ってきた。

 しかも、准教授として迎え入れられたものだから、講師の真野さんよりも立場が上になってしまって、もうぐちゃぐちゃだ。


「恭子さんが悪いんですからね」

 私が恨み言を口にすると、恭子さんはきょとんとした顔で首を傾げた。

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