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アオイはラボの暗室にいた。
「覚悟が決まったようだね」
俺を見上げて、ニヤニヤして言う。
「最後にいっぱい橋本さんと楽しんだ?」
取り合うだけ無駄だ。
そう思って、憤りを鎮めた。
それよりも、試したいことがある。
俺たちをさんざん苦しめてきたこいつに。
「なあ、アオイ」
椅子に座っているアオイを見下ろす。
「お前にも、俺の力は通用するのか?」
つまり。
「俺が、お前に好きだと言ったらどうなる?」
人外の存在であるアオイに、この呪いがかかるとは思えない。
でも、全ての可能性を試したかった。
「気づいちゃった?」
アオイが楽しそうに眉を上げる。
「僕のことも支配できちゃうって」
予想外の反応に、少し面食らった。
バカにするか慌てるかの、どちらかだと思ったのに。
「あはは。僕が動じてないのが意外?」
椅子から立ち上がって、俺の胸に手を当ててくる。
「いいよ、僕にその力を使っても。でも、そんなことされたら、僕は君を向こうに連れて帰って、逃げられないように閉じ込めーー」
「好きだ」
饒舌に喋り出したのを遮って、俺はアオイに呪いの言葉をかけた。
「俺は、アオイのことが好きだ。愛してる」
不安で、何度も繰り返す。
確実に呪えるように。




