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愛してるって言わないで  作者: Mariko
一緒にいられない
65/89

3

 日が高くなった頃、亜希は気が済んだように立ち上がった。

 俺を見下ろして儚げに微笑む彼女は、ゾッとするくらい美しかった。

 

 空腹を満たすために、海辺のカフェに入って、亜希と同じプリンを頼んだ。

 甘いものは苦手だったはずのに、亜希と一緒に食べると、なぜか美味しく感じた。

 

 手の平ほどの大きさのプリンを、互いに見つめ合いながら、長い時間をかけて食べた後、再び車に乗り込んで、来た道を戻った。


 帰りの車の中で、亜希は一言も喋らなかった。

 喋らないまま、彼女のマンションの前に着いてしまった。


 このまま、お互い無言のまま別れるのか。

 それも悪くないーー、そう思いながら車を停めると、亜希は口を開いた。

 

「もう一度だけ、」

 俯いて、心細そうに言う。

「もう一度だけ、真野さんの声が聞きたい」


 スカートの裾を握りしめる手が、震えている。

「きっと私、すぐに何も考えられなくなっちゃうけど、それでもーー」

 

 理性が破れる音が聞こえた。


 手早く、サイドブレーキをかけて、ギアレバーを動かして、エンジンを切った。

 車を降りて、助手席に回り込んで、亜希の手を引く。


 まだだ。

 誰にも、この子の乱れた姿を見せたくない。

 

 部屋に入るなり、噛み付くようなキスをした。

「真野さんーー」

 閉まったドアに押しつけて、その首筋に口付けを落とす。

 

「亜希」

 好きだ。

「亜希」

 この世界が変わっても、愛してる。

 この世界が壊れても、俺は君を愛し続ける。



 事が済んだ後、俺がシャワーを浴びている間に、亜希は眠ってしまった。

 あるいは、眠ったふりをしてくれたのかもしれない。

 意思が弱い俺の気持ちが、変わらないように。


 その頬に触れようとして、未練を指先に集めたまま、彼女に背を向けた。

 大股で部屋を出て、そのまま、車で研究室に向かった。


 アオイと決着をつけるために。

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