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愛してるって言わないで  作者: Mariko
一緒にいられない
64/89

2

 ***


 翌朝、一度自分の家に戻って、車で亜希を迎えに行った。


『海が見たい』

 亜希がそう言ったから、俺は彼女を乗せて浜へと車を走らせる。


 車の中で亜希は、いつになくテンションが高くて、無言を貫く俺に向かって喋り続けている。


「ーーそれでその子、好きな芸人が解散した時、すっかり落ち込んじゃって。同級生のLINEグループでみんなでひたすら励ましてました」

 そんな、他愛もない話を。


 ラボは、2人揃って休んだ。

 どうせ世界が終わるのだ。周りの目を気にしたって仕方がない。

 俺たちが交わったことは、なかったことになる。

 愛し合ったことも。


 浜辺の駐車場に車を止めると、亜希は晴れた空の下、海を抱きしめるように駆け出した。

 潮風に髪をなびかせながら、石段の上に腰を下ろす。

 

 もっと海に近づけばいいのにと思ったけど、亜希の隣に腰を下ろすと、目下に砂浜と海が広がっていて、悪くない眺めだった。


「海を見てたら、悩み事がちっぽけに思えるっていうけど、」

 亜希は、しばらく黙って海を見つめた後、ポツリと言った。

「この悩みは、全然、小さくならないみたい」


 泣き出しそうな気配を感じて、その柔らかな唇にキスをした。

 その身体を、深く抱きしめた。


 俺には、この世界がくだらなく思える。

 呪いに振り回されて、いとも簡単に作り変えられてしまう世界などは。

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