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愛してるって言わないで  作者: Mariko
一緒にいられない
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1

「俺が間違っていた」

 身を起こして、俺はそう言った。

「やっぱり、このままじゃダメだ」


 亜希は反対しなかった。

 最初から分かっていたみたいに、ギュッと俺の手を握った。


「アオイにキスして、呪いを終わらせてください」

「それはーー」

 反論しようとした俺に、彼女は真剣な顔で首を横に振る。

「私以外の女の人に好きって言ったら、許さないから」

 そう言って、唇を震わせたかと思うと、大粒の涙をこぼした。


「分かった」

 その身体を抱き寄せて、髪を撫でる。

「橋本さんがそう望むなら」

「亜希」

「え?」

「亜希って呼んでください」


 その名前を口に出すのは怖い。

 心の中でその名を呼んで、想いを叫び続けてきた俺にとって、それはほとんど、好きだと打ち明けるようなものだから。


「亜希」

 恐る恐るそう呼びかけた。

 彼女のささやかな望みに応えるために。

「亜希」

 長年秘めてきた想いを、弔うために。


「やっぱり私、」

 俺の背中に手を回して、亜希が呟く。

「真野さんとデートしたい」

 遠慮がちな、迷うような声で。

「思い出が欲しいの。たとえ明日、世界が変わるのだとしても」


 アオイにキスをすれば、俺たちの呪いに関する記憶は消えて、世界が辻褄の合うように作り変えられる。


「どこに行きたいんだ」


 どこへでも連れて行こう。

 どうせ、明日で、世界が終わるのだから。

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