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「どうですか?気持ちいい?」
俺を見つめて、そう尋ねてくる。
「そんなことしなくていい」
手を掴んでやめさせようとするけど、亜希は離そうとしない。
「すっかり元気になりましたね」
俺のものは、彼女の柔らかい手の中で、あっという間に硬さを取り戻している。
「イケそうですか?それとも、もどかしい?」
俺の反応を窺いながら、微妙にしごき方を変えるから、脳が溶けそうだ。
「ふふ、かわいい」
寸止めをして、俺をからかってくる。
わざとだ。
「黙れ」
口を開けば喘ぎ声が漏れそうで、かろうじてそれだけ言った。
彼女が過去に付き合ってきた男たちに、みっともなく嫉妬している。
俺も気持ちよくさせてあげられたらいいのに。
ーーその時。
不意に、亜希の手の動きが止まった。
無意識につぶっていた目を開ける。
彼女の顔を見て、ハッとした。
「……橋本さん」
亜希は、とろんとした目をしていた。
その目は、これまで何度も見てきた。
興奮状態になった時の目だ。
「どうして……まだ1時間も経ってないぞ」
疑問を口の中で呟いた俺は、そのわけに思い至って、ゾッとした。
俺は今、亜希に黙れと言った。
つい先ほどの彼女の言葉ーー。
ーー真野さんの『うるさい』も『黙れ』も全部、好きだって解釈するから。
これも、許されないのか。
呪いの言葉に変わってしまったのか。
「くそ……」
俺に抱かれることしか考えられなくなっている亜希を、ベッドの上で押し倒す。
「ふざけんな」
悪態をついても、挿れながら自分の身体が悦んでいるのを感じる。
亜希の喘ぎ声は、やがて悲鳴のような声に変わっていく。
それでも、俺は腰を打ち付けるのを止められない。
自分が果てるまで。
好きだ。
今、ひと言そう囁けば、彼女を再び快楽の中に引き戻せる。
そんなトチ狂った考えが頭に浮かんで、もう少しで声になりそうになった時ーー。
俺は身を震わせて己の欲望をぶちまけた。
最低だ。
荒々しく息を吐きながら、絶望する。
これなら、本当に死んだほうがマシだ。




