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愛してるって言わないで  作者: Mariko
呪わずにはいられない
62/89

7

「どうですか?気持ちいい?」

 俺を見つめて、そう尋ねてくる。

「そんなことしなくていい」

 手を掴んでやめさせようとするけど、亜希は離そうとしない。


「すっかり元気になりましたね」

 俺のものは、彼女の柔らかい手の中で、あっという間に硬さを取り戻している。


「イケそうですか?それとも、もどかしい?」

 俺の反応を窺いながら、微妙にしごき方を変えるから、脳が溶けそうだ。

「ふふ、かわいい」

 寸止めをして、俺をからかってくる。

 わざとだ。


「黙れ」

 口を開けば喘ぎ声が漏れそうで、かろうじてそれだけ言った。

 彼女が過去に付き合ってきた男たちに、みっともなく嫉妬している。

 俺も気持ちよくさせてあげられたらいいのに。


 ーーその時。

 不意に、亜希の手の動きが止まった。

 無意識につぶっていた目を開ける。

 彼女の顔を見て、ハッとした。


「……橋本さん」

 亜希は、とろんとした目をしていた。

 その目は、これまで何度も見てきた。

 興奮状態になった時の目だ。


「どうして……まだ1時間も経ってないぞ」

 疑問を口の中で呟いた俺は、そのわけに思い至って、ゾッとした。


 俺は今、亜希に黙れと言った。


 つい先ほどの彼女の言葉ーー。

 ーー真野さんの『うるさい』も『黙れ』も全部、好きだって解釈するから。


 これも、許されないのか。

 呪いの言葉に変わってしまったのか。


「くそ……」


 俺に抱かれることしか考えられなくなっている亜希を、ベッドの上で押し倒す。

「ふざけんな」

 悪態をついても、挿れながら自分の身体が悦んでいるのを感じる。


 亜希の喘ぎ声は、やがて悲鳴のような声に変わっていく。

 それでも、俺は腰を打ち付けるのを止められない。

 自分が果てるまで。


 好きだ。


 今、ひと言そう囁けば、彼女を再び快楽の中に引き戻せる。

 そんなトチ狂った考えが頭に浮かんで、もう少しで声になりそうになった時ーー。

 俺は身を震わせて己の欲望をぶちまけた。


 最低だ。

 荒々しく息を吐きながら、絶望する。

 これなら、本当に死んだほうがマシだ。

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