表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
呪わずにはいられない
59/89

4

 返す言葉に詰まった。

 確かに、俺がアオイに敵うはずがない。

 呪いの力を使う以外には。

 

 アオイは、見た目も、コミュニケーション能力も、俺よりずっと優れている。

 

「それなら、お互いに忘れた方がよっぽどマシです」

 亜希が、言い聞かせるように俺の手を取った。

「真野さんだけでも、呪いから解放される方が、ずっといいです」


「嫌だ」

 今度は俺がそう言う番だった。

「アオイになんか、絶対に渡さない。アオイに取られるくらいならーー」

 俺は死んだ方がマシだ。

 その言葉を、飲み込んだ。


「このままでいよう」

 数回の呼吸の後で、俺は絞り出すようにそう言った。

「分かりました」

 亜希はそう答えた。

 

「いいのか。男の言葉が一生聞き取れなくても」

 あまりにも即答だったから、自分で言ったくせに、俺はそう確認する。

 俺の声を聞かなければ、興奮状態になることは避けられるとしても、その耳で生きていくのはあまりに不便だ。


「はい。真野さんの声が聞こえれば、構いません」

 彼女は再びそう即答する。


 これもアオイに操られているのだろうか。

 束の間、胸に浮かんだそんな疑念をかき消して、亜希と一緒にベッドの上に倒れ込んだ。


「好きって言わないで」

 覆い被さるようにして首筋に吸い付く俺に、亜希が言う。

「ちゃんと真野さんのことを愛していたいから、好きって、愛してるって言わないで」


 俺は頷く。

 何度も頷く。


 愛してる。

 愛してる。愛してる。

 

 口に出せない分、胸の中を埋め尽くす。

 気を抜けば声に出そうになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ