表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
呪わずにはいられない
57/89

2

「違う」

 感情を押し殺して、冷静に否定する。

「爺さんから聞いたんだ。俺が呪いをかけたのは橋本さんが初めてだ」

 俺がそう言ったら、亜希は安心したような顔をした。


「戸塚さんも、同じ力を持ってたんですか?」

 続けてそう尋ねてくる。

「そうだ。もともとアオイは、爺さんに呪いの力を渡した。それが俺に受け継がれたんだ」

「ああ、それで、アオイは戸塚さんの話をしてたんですね」

 納得したように頷いている。


「じゃあ、母は戸塚さんに……」

 賢明な彼女の思考は、あっという間に20年前の真相に辿り着く。

「戸塚さんの言葉の意味がやっと分かりました。母は、私の声が聞きたくて、望んで実験台になったんですね」


 その通りだ。

 耳が聞こえなくても、呪いがかかるのかどうか。

 もしも呪いがかかったら、爺さんや同性の声が聞こえるようになるのかどうか。

 爺さんは、それを検証しようとしたのだ。


「お母さん、やっぱりあの時、私の声、聞こえてたんだ。だから、うるさいって言ったんだ……」

 紐を解くように、亜希は真実をなぞっていく。


「だけど、」

 やっと言える。

 あの時伝えられなかったことを。

「橋本さんのお母さんが亡くなったのは、橋本さんのせいじゃない。その時には呪いが解けて再び聞こえなくなっていたはずだ」


『お母さんなんか大嫌い。死んじゃえ』

 そんな言葉を母親に投げつけたことを、亜希はとても悔やんでいた。


 俺の言葉に、亜希は一瞬、虚をつかれたように呆気に取られた後、俺に抱きついて、声をあげて泣き出した。


「言えなくてすまなかった」

 胸の中で首を横に振っている。

「俺たちのせいで、つらい思いをさせて、本当に、すまなかった」

 首を横に振る動きが大きくなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ