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「そういうことだったんですね」
事後、俺が処理をする後ろで、亜希はさめざめと泣き出した。
「私、自分が変になったのかと思った」
「悪かった」
こんな謝罪の言葉ひとつで許されることではないけど。
「壊さない。絶対に、壊さないから」
この子を壊してしまおうだなんて、どうかしていた。
「壊すって?」
亜希が聞き返してくる。
「アオイも言ってましたけど、壊すってどういう意味ですか?」
その説明がまだだった。
「俺が呪いの言葉をかければかけるほど、女は興奮状態になることが増えて、そのうちに、精神的におかしくなるんだ」
俺の母親のように。
「呪いの言葉って、好きとか、そういう……?」
確かめるように言う亜希に、振り向いて頷いて見せる。
俺はその言葉を、口に出すことができない。
「それで全然好きって言ってくれなかったんですか?」
亜希の問いに再び頷くと、彼女は再び泣き出しそうになった。
「私のこと、好きじゃないのかと思ってました」
幻だ。
そう思おうとしても、愛おしい気持ちが溢れて、亜希を抱きしめようとした。
けど。
亜希はそんな俺から少し身を引いた。
「他の人にも、好きって言ったことがあるんですね」
拗ねた顔をしていた。
「壊れちゃうくらい愛したことがあるんですね」
……かわいい。
そんな、場違いな感情を抱いた。




