表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
決められない
47/89

2

「そこをどけ」

 亜希の手を取って、実験室の出入り口を塞いでいるアオイに短く命ずる。

 これ以上話しても無駄だ。


「え、でもまだ……」

 俺に手を引かれて、亜希が小さく抵抗する。

「そうだよ、橋本さんまだ発情してないよ」

「うるさい」

 別に、ヤる場所を探しに行くわけではない。


「お前は俺の呪いを解く気がないんだろ。だったら、橋本さんだけでも解放する」


 亜希が呪いに対して嫌悪感を示したのを見て、やっと覚悟が決まったのだ。


「解放するって、どうやってですか?」

 亜希が背後でそう尋ねてくる。

 その声が、俺を非難しているように聞こえた。

 方法があるのなら、どうしてもっと早く解放しなかったのかと。


「橋本さん、真野さんは他の女に愛を囁きに行くつもりだよ」

 俺の代わりにアオイが答える。

「そうすれば、愛の対象が橋本さんからその女に移るからね」

 アオイに聞こえるように舌打ちをする。

 余計なことを言いやがって。

 だいたい、愛の対象って何だ。

 こんなものは、愛とは呼ばない。


「そんな」

 文字起こしされたアオイの言葉を読んで、亜希の抵抗が強くなる。

「待ってください、真野さん」


「仕方ないだろ」

 俺だってこんなことはしたくない。

「俺だって分かってる。倫理に反してることくらい。でも、そうでもしなきゃお前はーー」

「違う、そんなことを言ってるわけじゃないです」

 亜希の強い否定に、思わず振り向く。

 彼女はまっすぐに俺の目を見上げてきた。


「真野さんはどうなるんですか?真野さんが呪いから解放されないと、意味がないです」

「そんなこと、お前は気にしなくていい」

「気にします。だって好……」

「黙れ」

 何度、言う気だ。

 俺はその言葉を返すことができないのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ