9
「そうかな?」
アオイが俺の覚悟を揺るがしてくる。
「それは、本人に訊かないと分からなくない?」
「いいから、黙って俺の言う通りにしろよ」
「せっかちだな。橋本さんとも相談してみたら?」
相談だと。
「できるわけないだろ。この呪いのことを知った人間は、抹消されると聞いたぞ」
俺の言葉を聞いて、アオイが納得顔になる。
「あー、そういえばそんな条件つけたね」
まるで、今思い出したと言わんばかりだ。
ふざけるな。俺たちがどれだけ周りに漏らさないように気を付けてきたと思ってるんだ。
「人間にこの力を与えたなんて知られたら、父さんに怒られちゃうからさ、噂が広まらないようにそんな条件をつけたんだよ。ほら、人間界で騒ぎになったら、さすがに父さんの耳に入っちゃうだろ」
アオイは、悪びれずにそう言った。
「でも、橋本さんくらいにならいいよ。ベラベラ喋って回らないだろうし。喋ったところで、誰も信じないでしょ」
そんな適当な。
やっぱり抹消します、なんてことになったら、どうしてくれるんだ。
「じゃあ、こうしよう」
俺の不信の目に気付いたのか、アオイがひとつ手を叩く。
「僕から橋本さんに話すよ。ね。力を手放すのは、それからでも遅くないと思うなぁ」
どうしてそんなに俺に力を手放させたくないのだろう。
そんな俺の疑問をよそに、アオイはひとりで話を進める。
「よし、決めた。明日、橋本さんと一緒に僕のところに来て。それでもやっぱり力が要らないというなら、手放し方を教えてあげる」
アオイは一方的にそう決めて、俺に反論の隙を与えずに、話を終わらせた。




