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「ああ、バレちゃったか」
アオイはあっさりと白状した。
「ていうか、気づくの遅いよ。戸塚の時と同じ名前で過ごしてたのにさ」
「お前、何者だ」
少なくとも、普通の人間ではあり得ない。
爺さんに呪いの力を与えたのは、50年以上前のはずなのに、見た目はどう見ても20代かそこらだ。
「人間の言う、色魔の一種だよ」
「色魔?」
「そう。時々こうして人間界に降りてきて、世界のバランスを取ってるのさ」
にわかには信じがたい話だが、信じるより他にない。
「じゃあ、この呪いも、バランスを取るのに必要だと言うのか」
俺がそう尋ねると、アオイは少し首を捻った後、声をあげて笑った。
「呪い?あ、その力のこと?あはは、違うよ。これは僕から戸越へのお詫びの印。戸塚の好きな人を何人も取っちゃったからね」
今度は俺が首を傾げる番だった。
お詫びだと?
お詫びの印に、なぜこんな呪いを押し付ける。
「それにしても、呪いだなんてひどいなぁ」
アオイは顔をしかめて腕組みをした。
「本当だったら、人間なんかが手にできない力だよ?壊れるまで好きな子で遊べるなんて、最高でしょ」
本気で言っているのだろうか。
だとしたら、話が通じないと考えた方が良さそうだ。
「俺から、今すぐこの呪いの力を取り除いてくれ。あんたならできるだろ」
それさえ叶えてくれれば、あとはどうでもいい。
この力のせいで起きた悲劇をひとつひとつ語ったところで、こいつにはきっと伝わらないだろうから。




