5
「真野さん……」
亜希の上で荒い息をついていると、名前を呼ばれた。
慌てて身を起こす。
「悪い、イけなかったよな。手でする」
「だ、大丈夫です。それより、どうしたんですか?こんなの、真野さんらしくない」
「イけたのか」
「いつもすぐイッてます。真野さんがなかなかやめてくれないだけで」
「……悪い」
亜希に布団を被せて、俺は手早く服を着た。
「どこに行くんですか」
部屋を出ようとした俺に、亜希が尋ねてくる。
「頭冷やしてくる」
「それ以上冷やさなくていいです」
裸のままの亜希が、ベッドから降りて後ろから俺の手を引く。
「……ホクロ」
見なくても、脳裏に刻み込まれている。
「ホクロ?」
話が見えないというように、亜希が聞き返してくる。
我ながら滑稽だ。そのホクロを、自分だけのものだと思っていたなんて。
「アオイが言ってた。橋本さんのお腹にホクロがあるって」
俺がそう言ったら、亜希は押し黙った。
困っているだろうか。
呆れているかもしれない。俺の理不尽な嫉妬に。
「自分でも分かってるんだ。こんなことでいちいちーー」
「私も混乱してるんです」
亜希が、俺の言葉に被せて、言った。
ちらっと振り向くと、彼女は困ったように俯いていた。
「信じてもらえないと思うけど、私、アオイとそういう、寝たりしたこと、忘れてました。
今朝、真野さんにキスされた途端に思い出して、それで混乱して、1人でゆっくり考えようと思って……」




