表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
抗えない
39/89

3

「知りたいですか?僕が橋本さんと何回寝たか」

 壁に押し付けられながら、アオイが挑発してくる。

「やめろ」

「まあ、50回は超えてるでしょうね」

「やめろって言ってるだろ」

「真野さんがいつまでも日和ってるから悪いんですよ」

 聞いていられなくて、アオイから手を離す。


 知っていた。

 亜希がアオイと付き合っていたことは。

 それなのに、こんなにもみっともなく嫉妬している。


 俺はそこで、亜希の様子がおかしかった理由に思い当たった。


「脅したのか」

 再びアオイににじり寄って尋ねる。

「何がです?」

 すっとぼけた表情で聞き返された。


「だから、さっき橋本さんの様子がおかしかったのは、お前が脅したからかって聞いてるんだ」

「ああ」

 俺の問いの意味を理解して、アオイは笑った。


「まさか。そんなくだらないことしませんよ。そんなに心配なら、橋本さんに直接聞いたらいいじゃないですか」

 亜希が、すんなり打ち明けてくれるとは思えない。

 何でも、1人で解決しようとする子だから。


「いいから言えよ。橋本さんに何したんだ」

「だから、寝ただけで、何もしてませんって」

「だったら、さっきのは何だったんだよ」

「知りませんよ。僕と寝たのを急に思い出したんじゃないですか」

「そんなわけないだろ」


 おちょくってくるアオイに腹を立てていると、前からゾロゾロと同じラボの学生が歩いて来た。

 アオイがニヤリと笑う。

「みんなに言っちゃおうかな。真野さんは橋本さんのことが大好きだって」

「なっ……」

 思わず後ろに飛びずさった。

 アオイが不用意に、俺の気持ちを言語化するから。


「その慌てぶり。橋本さんにも好きだって言ってないんじゃないんですか」

「うるさい。勘違いするな。付き合ってない」

「へえ、じゃあ、取り返しちゃおうかな」

「お前……!」

 分かっている。自分でも矛盾しているのは。

 それでも、亜希のことになると、冷静ではいられない。


「冗談ですよ」

 アオイは手をひらひらと振って、研究室の中に戻って行った。

 ラボの学生たちも、何があったのかという顔をしながら、俺の横を通り抜けて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ