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愛してるって言わないで  作者: Mariko
聞きたくない
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7

「真野さんは、お爺さまの研究を継いだんですね」

 寝たのかと思ったら、亜希は再び口を開いた。


「戸越さんのことは恨んでるけど、研究者としては尊敬しています。どうして戸越さんは、聴覚の研究をしようと思ったんだろう……」

 

 亜希の呟きを、俺は聞かなかった振りをした。


 爺さんと俺が、聴覚障害について研究しようと思った理由は、一つしかない。

 そのメカニズムを解明できれば、呪いが解けるかもしれないと思ったからだ。

 でも、そのことを話すわけにはいかない。


 亜希はやっと静かになった。

 彼女の体温を感じながら、ホッと息をつく。


 そろそろ、本当に限界だ。

 気を抜けば、好きだと言いそうになる。

 この呪いについて、打ち明けたくなる。


 でも、ダメなのだ。

 爺さんに呪いをかけた奴が言ったそうだ。


『他の人間にこの力のことを話したら、その人間をこの世界から抹消する』


 さすがの爺さんも、そのことについては検証しなかったから、本当に抹消されるのかは定かではない。

 でも、あり得ない話ではない。

 この呪い自体、現実離れした話なのだから。


 だから、俺は口が裂けても、亜希に呪いについて話すわけにはいかない。

 好きだと言えない理由を、説明することすら許されないのだ。

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