表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
聞きたくない
34/89

6

「俺に出ていってほしいのか」

 諦め悪く俺は、亜希の真意を確かめる。

「そうだよな。俺なんかに抱かれたくないよな」

 亜希がくれた『好き』の真偽を。


「……違う」

 俺のスウェットを掴んで、亜希が否定する。

「離れたくない。でも、もうつらくて。真野さんにとって私は、ただのセフレですよね」

「は?」

 思いがけない言葉に、耳を疑う。

 亜希が取り繕うように言葉を続ける。


「いいんです。私が悪いんです。私、真野さんのことがこんなに好きなのに、一度欲しくなると、それ以外何にも考えられなくなっちゃう。こんな私、好かれなくて当然です」


「何だよそれ」

 俺がただの身体目当てで、ここに居座ってたと思っているのか、

 俺のことを、そんな人間だと思っていたのか。

 よくもそんな変態に、好きだと言えるものだ。


「俺はーー」

 好きだ。

 好きだからここにいるんだ。

 でも、言うわけにはいかないんだよ。


「大丈夫です。分かってますから」

 言葉に詰まった俺に、亜希が言う。

 分かってないくせに。

「真野さんは悪くない。私がーー」

「それ以上言うな」

「私が、全部悪い」

「黙れ」

「私が、一方的に好きでーー」

「黙れって言ってるだろ」


 俺の愛の言葉は毒だ。

 神経を侵して、ボロボロに壊してしまう。

 そうなる前に、解放しなきゃいけないのに。


「もう遅い。寝ろ」

 亜希の身体を抱き寄せて、俺は問題を先送りにする。

 精一杯の愛情表現で。

 

「ごめんなさい」

 嗚咽混じりの声だ。

「それでも私、真野さんから離れられない」

 そう言って、俺の胸に顔をうずめてくる。

 好きだ。

 

「いいから、寝ろ」

 俺が口を滑らせる前に。

「やっと見つけたの」

 寝ろと言っているのに、亜希は止まらない。


「おばあちゃんもお母さんも男運最悪で、私も付き合ってきた人みんな散々で。そんな私が、やっと真野さんのことを見つけたの……」


 何を言ってるんだ。

 見つけたのは俺の方だ。

 男運が最悪だから、俺なんかに見つかったんだろ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ