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「俺に出ていってほしいのか」
諦め悪く俺は、亜希の真意を確かめる。
「そうだよな。俺なんかに抱かれたくないよな」
亜希がくれた『好き』の真偽を。
「……違う」
俺のスウェットを掴んで、亜希が否定する。
「離れたくない。でも、もうつらくて。真野さんにとって私は、ただのセフレですよね」
「は?」
思いがけない言葉に、耳を疑う。
亜希が取り繕うように言葉を続ける。
「いいんです。私が悪いんです。私、真野さんのことがこんなに好きなのに、一度欲しくなると、それ以外何にも考えられなくなっちゃう。こんな私、好かれなくて当然です」
「何だよそれ」
俺がただの身体目当てで、ここに居座ってたと思っているのか、
俺のことを、そんな人間だと思っていたのか。
よくもそんな変態に、好きだと言えるものだ。
「俺はーー」
好きだ。
好きだからここにいるんだ。
でも、言うわけにはいかないんだよ。
「大丈夫です。分かってますから」
言葉に詰まった俺に、亜希が言う。
分かってないくせに。
「真野さんは悪くない。私がーー」
「それ以上言うな」
「私が、全部悪い」
「黙れ」
「私が、一方的に好きでーー」
「黙れって言ってるだろ」
俺の愛の言葉は毒だ。
神経を侵して、ボロボロに壊してしまう。
そうなる前に、解放しなきゃいけないのに。
「もう遅い。寝ろ」
亜希の身体を抱き寄せて、俺は問題を先送りにする。
精一杯の愛情表現で。
「ごめんなさい」
嗚咽混じりの声だ。
「それでも私、真野さんから離れられない」
そう言って、俺の胸に顔をうずめてくる。
好きだ。
「いいから、寝ろ」
俺が口を滑らせる前に。
「やっと見つけたの」
寝ろと言っているのに、亜希は止まらない。
「おばあちゃんもお母さんも男運最悪で、私も付き合ってきた人みんな散々で。そんな私が、やっと真野さんのことを見つけたの……」
何を言ってるんだ。
見つけたのは俺の方だ。
男運が最悪だから、俺なんかに見つかったんだろ。




