表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛してるって言わないで  作者: Mariko
離れられない
25/89

2

 俺が好意を口にした途端、女は俺以外の男の言葉を聞き取れなくなって、俺の声に発情するようになるーー。

 そんな馬鹿げた呪いが、爺さんから3代続いている。


 この呪いのせいで多くの人が不幸になるのを、子供の頃からさんざん見てきた。

 だから俺は、この呪いを自分の代で終わらせようと誓った。

 それで、なるべく言葉を発さないように、なるべく人と、特に女と関わらないように、ひっそりと生きてきた。今後もずっと、そうするつもりだった。


 そんな俺の努力を、亜希は台無しにした。

 俺の研究に興味を持って、何かと俺に話しかけてきた。そんな女の子は初めてで、気づいた時にはもう、亜希しか見えなくなっていた。


 亜希が、セクハラされた挙句、理不尽に大学を辞めさせされそうになった時には、怒りで我を見失った。

 教授に食ってかかっただけでは飽き足らず、当時理事長だった爺さんに、教授と准教授をまとめて辞めさせるように頼み込んだ。

 そんな目立つことをしたのは、人生で初めてだった。


 思えば爺さんは、その時から亜希のことを悪く言っていた。

 彼女にも非があったんじゃないか、とか、深入りしすぎるな、とか言った。

 何らかの理由で、俺を亜希に近づけたくなかったのだろうけど、その時の俺はただ腹を立てただけで、その真意を問いただすことはなかった。


 それ以来、亜希は俺にそれまで以上に話しかけてくるようになった。

 その顔や声、匂いが、俺の全てを埋め尽くして、自分が罷り間違って好意を口にしてしまう前に、何とか彼女を遠ざけようとした。

 その一方で、話しかけられると嬉しくて、強く拒絶できない自分もいた。


 去年の秋ごろ、亜希がアオイと付き合っているという噂を聞いた。

 嫌だったけど、変な期待をしなくて済む安堵の方が大きかった。

 亜希が話しかけてくる度に、もしかして俺のことが好きなのだろうかと、勘違いしそうになっていたから。


 彼女が幸せなら、何だっていいーー。

 そう、自分に言い聞かせ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ