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愛してるって言わないで  作者: Mariko
分からない
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1

 目を覚ました時、状況が一瞬理解できなかった。

 寝返りを打ったら真野さんの裸の背中が見えて、そこで全てを思いだした。


 真野さんが私に気づいてこちらを向いたのと、私が布団を胸に貼り付けながら身を起こしたのは、ほとんど同時だった。

 羞恥心がとめどもなく湧き起こって、できることならこの場から逃げ出したい。


「あの、私……」

 真野さんは、無言のまま、感情を見せない表情をしている。

「私、いつもは、こんなんじゃないです」

 泣きたくなった。

 今度こそ絶対、嫌われた。淫乱だと思われた。


「真野さんの声を聞いた途端、その……」

「ムラムラしたか」

 私が言い淀んだのを引き取るように、真野さんがやっと口を開く。

 頷くのも恥ずかしくて目を伏せた。


「今は?」

 真野さんもベッドの上で起き上がって、私に尋ねてきた。

「今は、俺の声を聞いてもムラムラしないのか」

 小さく頷く。

 こんな状況なのに、真野さんの声がたくさん聞けて嬉しいと思ってしまう。

 いつもは寡黙で、必要最低限のことしか喋ってくれないから。


「なるほど。一回ヤったら落ち着くんだな」

 真野さんは独り言のようにそう呟いた。

「え?」

「何でもない。シャワー借りるぞ」

「あ、はい」


 真野さんが洗面所に行った後、急いで服を身につける。

 床に散らばっている真野さんの服を拾い集めて、洗面所の前に置いた。


 ベッドに腰掛けて、ひとつ大きく息をつく。

 そこで私は、真野さん以外の男の言葉が聞き取れなくなったことを思い出した。途端に、現実に引き戻される。

 大学を辞めなければいけないだろうか、とか。

 この先ずっとこのままだったらどうしよう、とか。

 真野さんに迷惑をかけたくない、とか。

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