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真野さんは、私の下着を外して、胸に舌を這わせた。
さっきはアオイに触られても何ともなかったのに、感じすぎて声が抑えられない。
「真野さん、ダメ。イッちゃう」
「イッたらいいだろ」
「やだ。挿れて。早く」
その時、急に敏感なところを触られて、腰が跳ねた。
「濡れてるな」
「だから、早く挿れて」
真野さんのモノを掴んで、誘導する。
「ここでいいのか」
確かめながら、私の中に押し入ってくる。
悲鳴みたいな喘ぎ声が漏れる。自分の声じゃないみたいだ。
「気持ちいいか」
真野さんに問われて、何度も首を縦に振る。
「真野さんは?」
「お前がイくまで持たないかも」
言いながら、打ちつけるスピードがどんどん早くなっていく。
「イく。イっちゃう」
「イけ」
「私の名前、呼んで」
「橋本さん?」
「違う。亜希」
「ああ、亜希」
耳元で名前を囁かれた時、頭のてっぺんからつま先まで電流が走るのを感じた。
「亜希、気持ちいいか、亜希」
「ダメ、もう、ダメ」
イッてるのに、真野さんは止まらない。
「ダメ、ダメ」
「亜希」
快感の波が引いて、苦痛が残される。
「ああ、出そう」
「出して。終わって」
「急かすなよ。気持ちいいんだろ」
「わかんない。もう、苦しい」
「橋本さんがこんなに乱れるとはな」
「やだ、見ないで」
「すげえエロいよ、亜希」
「やだ」
「俺のが欲しかったんだろ、亜希」
「もう、無理」
真野さんは、最後にひとつ大きく打ちつけると、短いうめき声ののちに、やっと動きを止めた。
かと思うと、余韻を残すことなく、すぐに引き抜いた。
身体を起こして、肩で息をしながらコンドームを処理している。
その、少し不器用な指先が好きだった。
その、少し筋肉のついた腕が好きだった。
その、少し下がった肩が好きだった。
その、集中すると少し尖る唇も。
その、少し長いまつ毛も。
「大好き」
気づけばそう呟いていた。
それを聞いて、真野さんは思いがけないことを言われたみたいな顔をした。
その表情は、怯えているようにも見えて。
「真野さんーー」
「うるさい」
真野さんは、私から目を背けると、いつものようにぴしゃりと私の言葉を切り捨てた。
その時なぜか、久しぶりに真野さんの声を聞いた気がした。
ますます好きな気持ちがあふれて、私はそこで意識を手放した。




