第44話 雨の恋路
あかりと薫の部屋に雨が入ってきた。
「私の王子様。」
雨はそういうと薫の頬に口付けた。
「「?!」」
「貴方は私の王子様なの。」
「悪いが俺はあかり以外に靡いたりしない。」
「灯火、あかり……」
そう呟くと雨はあかりを蹴り飛ばした。
「がはっ?!」
「あかり?!」
「邪魔。」
「何するんだ!」
「いったた…」
「王子様は雨のもの。」
そう呟くと雨は部屋から出ていった。
「あかり!大丈夫か?!」
「……う、うん。」
薫は縄を解くとあかりの元へと近づく。
「薫君?!」
「最初からロープを握っていたんだ。」
得意げにロープの束を見せる。
「あかり!逃げるぞ!」
薫はあかりのロープを解いた。
「うん!」
☆☆☆☆☆
葵はあかりを探していた。
「こっちに鬼の気配がある!」
なんとか青の痕跡を追ってあかりを探した。
「雨で途切れてる……翡翠様!あかりさんが今どこにいるかわかりませんか?」
「わかるぞ。だが……」
「不干渉……ですか?」
「……わかった!教える!こっちだ!」
「はい!」
翡翠はあかりがいなくなれば紫源家や灯火家が絶えると考え力を貸すことにした。そして葵は鬼の気配を感じる屋敷を発見した。
「ここだ!」
葵はその家に侵入した。
「……ん?」
「涙赤?どうかしたか?」
涙赤が何かを感じた事を青はわかった。
「人間の匂いがする。」
「もうここがバレたのか!?」
「紫源葵、ここで始末しておくぞ。」
「りょーかい!」
物騒な指示に雷黄が元気に答えた。
☆☆☆☆☆
「あかり!こっちだ!連れて来られる時に来た道を覚えている!」
「わかった!薫君!」
あかりと薫は廊下をバレないように走って逃げる。入口に辿り付いた時、入口の扉が開いた。
「「?!」」
「兄さん?!あかりさん!?」
扉を開けたのは葵だったのだ。そのまま逃げようとした時、涙赤達がやってきた。
「人間ごときが、逃げ切れると思うなよ!」
涙赤は1部鬼に変身して鬼の手で攻撃してくる。葵がそれを式神で受け止めた。
「紫源、葵!お前はここで死んでもらう!」
涙赤の攻撃が繰り出される。青や雷黄も鬼化して攻撃してくる。
あかりもなんとか印を結び式神を召喚するが上手くいかない。
「”馬鹿じゃのお!”だってー!難しいんですよ!」
「”お前は力を持ちすぎておるから操作できないんじゃよ!代われ!”」
灯火に代わったあかりは攻撃を全て打ち消し、辺りは煙に包まれる。
「ふっ、馬鹿はお前だ。」
涙赤が笑ったと思うと灯火は混乱し始めた。
「”な、なんじゃ、こ、これ?!”」
「我らが狙うのへ”灯火”。故に”灯火”の魂こちらに渡してもらう!」
涙赤が水晶玉をだして来たと思うとそこに灯火は吸い込まれてゆく。
「”葵ー!あとは頼んだぞ!お前達なら出来るー…”」
灯火は水晶に閉じ込められてしまった。
「あかりさん!兄さん!逃げましょう!」
あかりと薫に呪符を貼ると葵とあかりと薫はその場から飛んだ。
「?!瞬間移動とかチートだろ?!」
雷黄が悔しそうにしていると涙赤は目的は果たしたとニタリと笑った。
☆☆☆☆
気がつくとあかりと葵と薫は家に帰っていた。
「あかり、大丈夫か?」
「薫君、葵君も大丈夫?!」
「はい。ボクは平気です。」
「俺も大丈夫だ。それで、これは一体どういうことなんだ?葵?」
「最初から話しますね。実は……」
葵は薫にことの全容を説明した。
「灯火様の力が狙われていて、それをあちらに奪われてしまった、と?」
「はい。そうなんです。」
「どうしようー!このままだと世界滅びるー!」
「落ち着けあかり。そんなすぐに滅びるならもう既に滅びているだろ?」
「薫の言う通りだ。あかり、葵。」
「「翡翠様?!」」
「いいか、こちらも体勢を整えてから灯火を助けに行くべきだ!」
「翡翠様はなんと?」
「こちらも体勢を整えて…」
がーしゃーんっ!と、大きな音がなった。3人は見に行くと窓ガラスが割れていた。そして、
「私の王子様!!」
そこには雨がいたのだ。
「くそ、いつの間に!?」
「察知されるのが早すぎます!一応この家御札で守られているはずなんですけど?!」
「雨ちゃん!どうして来たの?」
「灯火、あかり!」
雨はあかりを睨みつけて水を放つ。あかりは水にのまれてしまった。
「ぶくぶくぶくーー!」
葵が印を結んで水からあかりを助けた。だが、攻撃は続く。
「葵!後ろだ!」
「はい!兄さん!」
薫が指示して葵が動くが、
「灯火あかり!!」
雨は執拗にあかりばかりを狙ってくる。
「私だって!」
あかりが雨に向かって攻撃をした。それは雨にかするが雨は物凄い剣幕であかりを狙う。
「私の王子様!!」
「悪いがあかり以外を愛する事はない!葵!」
「はい!」
薫の指示で葵は雨の後ろをとった。
「はっ?!」
雨に葵の攻撃が直撃する。
「がはっ?!」
フラフラになった雨。だが、あかりを狙う。
「これで!!」
あかりは式神を使って水を凍らせた。
「?!」
雨は氷の中に閉じ込められる。
「ぐあっ?!」
あまりの痛みに雨は悶え苦しんだ。
「あっ!ごめん!」
あかりが術を解く同時に雨の攻撃が天から降り注ぎあかりを襲う。
「葵君!」
あかりは囮で本命は葵の背後からの攻撃だった。あかりと葵の攻撃によって雨は倒れる。
「私、私の、王子様なんて、いないのね……」
悲しげにそういう雨。
「そんなことありませんよ!きっと、雨さんにだって、いつか素敵な人が現れますよ!」
笑顔で葵はそう言った。その言葉は雨の心に突き刺さった。
「葵、さま!」
「へ?」
雨は薫の次は葵を好きになってしまった。




