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灯火のあかり タイムスリップして母の初恋相手と恋しました?!  作者: ユキア


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第3話 葵の秘密


日が昇る。目が覚めるとそこは知らない部屋だった。


「えーと……?」


コンコンとノックの音が聞こえたと思うと1人の少年が部屋へ入ってきた。


「あかりさん、翡翠様おはようございます。」


「あ、おはよう。」


「おはよう、葵。」


そうだったー!昨日タイムスリップして葵君の家に居候することになったんだったぁ!!


「て、なるかっ!」


あかりは翡翠様にツッコミを入れる。

「まあ、朝から元気な事で何よりだな。」


なんて翡翠様は笑っていた。


「食事の用意が出来ているのであかりさん、居間まで来てくださいね。」


「うん!ありがとう葵君!」


葵が部屋を去ると翡翠様は茶化してきた。


「なかなかの好青年だろ?どうだ、嫁になってみるか?」


「翡翠様、ふざけないでください。まだ出会ったばかりなのにそんな事……」


「ふむ、顔は悪くない方だがなぁ。目の下のくまを除けば。」


「はぁ、着替えるので出てってください。」

あかりは翡翠様のふざけ様に呆れかえっていた。


「承知した。」


☆☆☆☆


「おはよう。」


「おはよう。」「おはようございます!」


薫は新聞を見ながら、葵君はご飯を釜から茶碗に移しながら元気に、挨拶してくれた。居間のちゃぶ台の上には朝食が3人分用意されていた。葵がご飯はどれぐらいですかと問うてご飯を入れてくれる。葵はご飯を入れた茶碗を優しい笑顔であかりに渡した。


「葵君ありがとう!」


3人揃ってご飯を食べる。そして、薫は生徒会の仕事があるらしく早めに出ていった。あかりと葵はその少し後から一緒に学校へと登校した。



「あかりさん、何かわからない事があったらいつでも言ってくださいね!ボクにできる事ならなんでもします!」


葵の優しい笑顔に癒されながらあかりが校門前へと来た時だった。


「おい、葵!」


「ひっ!?」

「へ?!」


そこにいたのは若かりし頃のおじさんだった。おじさんは凄んだ顔で葵の傍まで歩いてきた。


「ひっ!?」


葵は怯えながらあかりの後ろへと隠れる。


「葵!朝から女子と登校とは珍しいな。」


「え、ええと、すみません!」


謝って去って行こうとする葵の足をおじさんこと灯籠叔父さんは蹴り飛ばした。そして葵はその場に倒れる。


「誰が行っていいと言った!?」


「ちょっと、おじさん!何するのよ!?葵君が可哀想でしょ!!」


「おじっ?!」


「あ!」


あかりは思わずおじさんと言ってしまっていた。灯籠と葵が面食らっていると校舎から薫が出てきて葵に手を差し伸べた。


「灯火!葵に何するんだ!?」


「ちっ。」

灯籠は舌打ちしてその場を去っていく。


「葵、大丈夫か?」


「うん、兄さんありがとう。」


兄弟仲は良いらしくすごく仲睦まじい様子だった。


「すまないな、生徒会の挨拶運動さえ無ければ葵の傍にいれたのに……」


「いいんだよ。兄さんが真面目にかっこよく、生徒会長をしてる姿が見られるだけで嬉しいよ!」


「葵……」


「兄さん……」


2人の間にえもいえぬ空気が漂った。

「薫くーんっ!」


薫の後を追ってきた少女の顔を見てあかりは仰天した。


「お母さん?!」


「「「?!」」」


薫も葵も緑もあかりが何を言っているのかわけがわからない。


「あ、いや、お母さんに似てるなーて、あはは……。」


「変な子。」


あかりは緑から変な子扱いされた。薫と灯籠叔父さん、緑は生徒会の役員で毎朝挨拶運動で朝早くから学校へ来ているらしい。下駄箱で靴を履こうとした時だった。

葵の靴が光る。


「危ない!!」


あかりは葵の靴を叩き飛ばした。


「あかりさん?」


「中!見て!」


上履きの中を見るとセロテープで画鋲が貼られていた。


「あっ……」


「ねえ、これもおじ……灯火君の仕業?」


「……はい、たぶんそうです。」


葵はセロテープと画鋲を剥がしてゴミ箱へと捨てた。


「あかりさん、教えてくれてありがとうございます!」


無事に上履きを履けたが、次に教室へと入ろうとすると上から黒板消しが落下するように仕掛けてあった。これもあかりが気づいてなんとか止められたのだが、教室の葵の机には落書きがされていた。葵は恥ずかしそうに、これを消すのが毎朝の習慣なんだと笑ってみせた。その笑顔があまりにも苦しそうだったのであかりの心は締め付けられた。


「私も手伝う!」


あかりの申し出に葵は笑顔でお礼を言った。2人で消したので早く終わったが、葵が席に付くと机の中から蛇が出てきた。


「うわぁああっ?!」


葵はびっくりしてそのまま椅子ごと後方へ転んでしまった。


「葵君、大丈夫?!」


あかりが葵を起き上がらせる。蛇は精巧に作られたおもちゃだったらしく動かない。それを見ていた灯籠は大笑いした。


「っ!」


あかりは灯籠を睨みつける。


「なんだよ、女の癖に生意気だな?」


「は?こんな事してなんの意味があるのよ!」


あかりは叔父にブチ切れた。


「あかりさん、いいんです!気にしないで!」


葵はあかりに迷惑をかけまいとあかりを宥める。


「ふんっ。葵、後で校舎裏な?」


「……はい。」


渋々頷く葵、あかりはそれを見てさらにブチ切れた。


「なんなのよ!あれ?!行かなくていいわよ!」


「いつもの事です。行かないと、もっと酷い目に合わされるんです。」


葵は震えていた。そんな葵の手をあかりは握る。


「葵君、困ったことがあったらなんでも言ってね?」


「…はい。」


こうして1日が過ぎてゆく。その日の授業が終わり、帰路につこうとした葵の下駄箱には今度はカミソリの刃が仕掛けられていた。朝の事もあり、なんとか履く前に気づけた。夕焼けが沈んでゆく。


「あかりさん、ちょっと祠までいきませんか?」


「祠?翡翠様の?」


「はい!」


祠に何があるんだろうと思っていたあかり。祠に付くと翡翠がでてきた。


「葵、よく来たな!ちょうど困っていた所だ。」


空を見ると何か黒い物体が飛んでいた。


「はい!悪霊ですよね!退治します!」

すると葵は変身した。

は?変身?!


葵は紺色の陰陽師のような服をきていた。そして印を結ぶと黒い物体は浄化されて消えてゆく。


「葵、今日もありがとう。」


「いえ。お役に立てて何よりです。」


「………」


あかりは眼と口をあんぐりと開けて驚いている。


は?変身?!そして悪霊の浄化?!何そのファンタジー?!


「あ、あかりさん、ボク、実は陰陽師なんです。」


変身を解いた葵が照れながらそう言うのだが、あかりは理解できない。

そういえばこの村は陰陽師で一時期有名になった村だっけ?でも、葵君が変身?


「あかりさん?」


「そういえば話してなかったな。」


翡翠はあかりに説明を始めた。


「この村はあかりの祖先と葵の祖先によって作られた。葵は生まれた時より陰陽師の力が強く、このように学校へ通う片手間、悪霊を退散させているんだ。」


「あかりさんの先祖?そういえばあかりさんの苗字って灯火でしたね。灯火君と親戚なんですか?」


「あ、まあ、そんな感じよ。」


「灯火家と紫源家この2つの家によって悪霊を撃退し、この村は支えられている。」


「翡翠様に悪霊がよって来やすいんですよ。」


「あんたのせいかよ。」


あかりはツッコミをいれながらも真剣に話を聞いていた。


「あかり、お前にも陰陽師の血が流れている。つまりだ!」


「まさか……嫌な予感」


「あかりにも悪霊退治を手伝ってほしい!」


翡翠の言葉にあかりは唖然とした。

「わた、私?!無理だよ!悪霊退治なんてした事ないもん!」


断るあかり。だが、翡翠の眼は真剣だった。


「お前ならできる!まだ力に目覚めていないが素質はある!」


「葵君が陰陽師なら薫君も?」


「葵は普段はどじでのろまでダメダメだが、陰陽師としての力は強く、素質があった。薫は全て完璧だが、陰陽師としての力、素質だけは持っていなかった。」


「え?薫君は陰陽師じゃないの?」

翡翠の言葉に葵は複雑そうな顔をした。


「ボクはダメダメです。でも、そんなボクでも誰かの役に立てるなら、それは喜ばしい事だと思ってて……」


「この神様に無理やり悪霊退治させられていると、……」


「人聞きの悪い言い方をするな。あかり。」


翡翠はそう言うとため息をついた。

「はぁ、まぁ、力に目覚めた時にで良いから頼んだぞー。」


そうして葵とあかりはそのまま家へと帰っていった。翡翠は祠で呟く。


「今回は救えないかもしれんな。」

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