第34話 間違った正しさ
3人が順番にあかりを訪ねる中、あかりの退院が決まった。
「おめでとう、あかり!」
「おめでとうございます!あかりさん!」
「あかり!こいつらの家に居候するより僕の家に住むといい!」
「「「?!」」」
あかりも葵も薫もその言葉に驚いた。
「別にこいつらの家じゃないといけない理由なんてないだろ?」
「そ、そうだけど……」
あかりは少し困ったように薫を見た。
「……灯火、あかりはお前の家に引越したくないそうだぞ?」
もし、引越したとしよう。お父さんもいるしおばあちゃんもいるのだ。気まずいなんてものじゃない。
「っ!なんだよ!なんでだよ!?」
「あー、えーと、その……ほら、灯火君のお母さんが、困るんじゃないかな?」
あかりはなんとか引越しを阻止しようと考える。
「……確かに、そうかもしれないな。父さんもいるし、気まずいかもな。」
「え、おじいちゃんが?!生きてるの?!」
「?おじいちゃん?」
「あれ?灯籠君は知らないの?私がどこからきたのか……」
「ボクが見せてもらった記憶ではあかりさんは20年後から来たと、言っていました。」
「俺が見た記憶でもそうだ。」
「僕もそれは見た!それとおじさん呼びは関係ないだろ?」
「……灯籠君は、私の叔父さんなの。」
「「「?!」」」
3人ともその言葉に驚いた。
「通りで”灯火”って苗字な訳だな。」
「じゃあ、ふふふっ。灯火君とは結婚できないじゃないですか!」
「葵、それは俺達も一緒だぞ?」
「へ?どうしてですか?」
「……未来から来た。つまり、誰も選ばず、未来に帰ることを選ぶ事ができる。」
「あかりは、帰りたいのか?」
「……それは。」
「嫌です!」
葵はあかりの手を握る。
「あかりさんとずっと一緒にいたいです!」
「……」
葵が焦燥する中、薫は黙ったままだった。
「……叔父と姪だからなんだよ。そんなの関係ない!僕はあかりを愛してる!」
灯籠は握った手をあかりに伸ばす。
「きゃっ!?」
あかりをそのままベッドへ押し倒した。
「僕を選べ!あかり!!」
「灯火、やめろ!」
「ボクのあかりさんに何するんですか!?」
葵と薫が制止しようとするが灯籠は無理にあかりに縋り付く。
「灯籠君!やめて!」
「っ!」
その言葉を聞いて灯籠はあかりから離れた。
「灯火、落ち着け!」
「そうですよ!」
「うるさい!あかりは僕のものだ!」
喧嘩になりそうになっていたが薫が今日はもう帰ろうと言って解散するように言う。
「あかり、僕は立場や血の繋がりなんて気にしない!」
「あかりさん!ボクを選んでくれるって信じてます!」
「あかり、今日はもうゆっくり休め。また明日な。」
3人が帰って、賑やかだったのが嘘のように静かになった。
「……血の繋がりなんて気にしない、か。私もそれは気にしてないけど……」
「けど?」
「か、薫君?帰ったんじゃ?」
「……葵にはトイレだと言ってある。」
「へ?」
薫は腕を組んで落ち着いた様子でそれを聞いて来た。
「あかり、帰るのか?」
「……それは…」
「帰るんだな?」
「……お母さんやお父さん、おばあちゃんに、会いたい。」
「そうか、帰る時は言ってくれ。見送るから。それだけ聞きたかったんだ。」
「……薫君!」
「?!」
あかりはじゃあと、言って去って行こうとする薫の服の裾を掴んだ。
「あの、私……」
「なんだ?」
「なんでもない!」
「……そうか。」
薫は背を向けて立ち去ろうとした。それをみたあかりは言いたい事があったのに言えなかった。薫は去ってゆく。
「薫君待って!!」
部屋から出ようとした薫の足が止まった。
「あかり?」
「薫君は、私に帰ってほしいの?!」
薫は少し考えた。考えてそれが正しいと言い聞かせて言った。
「……はあ。そうだな。お前みたいな男を何人も誑かすようなやつ、さっさと未来へ帰ってしまえば良いと思ってる!」
「か、薫君?!」
「だってそうだろ?3人も手玉に取って遊んで、楽しんでるだけじゃないか。」
「そ、そんな事、」
「お前はただの穀潰しで、男ったらしの女だ!」
「ひ、酷いよ!薫君はわかってくれたと思ってたのに!」
「お前の気持ちなんてわかるわけないだろ!?」
「薫君なんて嫌い!!」
あかりは枕を薫に投げる。薫はそれをうまく掴んであかりのベッドに置いた。
「俺も今日、お前を見て嫌いになった!じゃあな、穀潰し!」
薫はそういって帰っていった。残されたあかりは泣きじゃくった。
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