第32話 三者鼎立
次の日の放課後も3人はあかりの病室へ集まった。
「……あかりさん。」
葵があかりの手を握っていると灯籠がそれを解いた。
「な、何するんですか!」
「あかりは僕のっ……」
「落ち着け、2人共。喧嘩するな。恐らくだが俺達は今、あかりに対して同じ気持ちを持っている。」
「っ!?それってどう言う……?」
「あかりが浮気性ってことか?」
「違うだろ。あかりは俺達の未来を変える為に何度もループして何度も考えて、悩んで、そして今にいたるんだろ。……好きになったのは俺達の勝手だ。」
「……でも、あかりは僕のものだと言ってくれた!僕のあかりだ!」
「はぁ、灯火。それは俺と葵を助ける為に仕方なくいった事だと思うぞ?」
「そ、そんなわけ…」
「とにかく、あかりが目覚めるのを待つしかない。」
「……あかりさん。」
葵はあかりの手を再びとった。
「葵、お前なぁ……俺や灯火だって我慢してるんだぞ?」
「……すみません。」
あかりの手を離した。
「今日はこれで帰ろう。また明日だな。」
「待て!」
灯籠は帰ろうとした2人をとめた。
「僕だって、あかりが好きだ!だから傍にいたい!」
「灯火、それは俺だって葵だって同じだ!」
「順番に来ないか?」
「順番、だと?」
「そうだ!あかりを独り占めできる日をつくる!そうすれば問題無いはずだ!」
「っ!灯火、そんなこと……」
「兄さん、ボクも灯火君に賛成です。」
「葵……それじゃあ、あかりが困るだろ?」
「誰の声で目覚めるか勝負だ!薫!」
「っ!……わかった。その勝負受けて立とう!!」
3人はジャンケンで順番を決めた。3人順番通りにまわったら3人できてまたジャンケンをして決める事になった。
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翌日、病室に来たのは葵だった。
「あかりさん、今日もきましたよ。」
葵はあかりの手を握った。あかりの手からほんのりと温もりを感じた。
「あかりさん。早く、早く眼を開けてください。ボクはずっと、ずっと、貴方を待っています。」
あかりの手が僅かに動いて葵の手を握る。
「っ!あかりさん!目覚めないんですね?ボクはあと、どれぐらい待てばいいんでしょうか?もう、待てません。」
葵はそっとあかりの頬を撫でる。
「ずっと、こうしていたい。ずっとずっと、貴方に触れていたい。」
その日、あかりは起きる事はなかった。次の日、病室に来たのは薫だった。
「……あかり。たく、いつまで寝てるつもりなんだ。」
そう言いながら薫はそっとあかりの手を握った。
「……見たよ。俺の未来。いや、過去か…、ひどいもんだったな。それでも、お前は俺の傍に居てくれた。感謝している。本当に。」
薫はあかりの手を大事そうに握る。
「……俺は酷い兄貴だよ。本当に。葵の幸せを願うなら、今、お前を諦めて葵に渡すべきなのに。出来なくてさ。俺だって、我慢してるだけで、本当は。もっと、お前に……」
そう言ってあかりの手のリストカット跡にキスを落とす。
「こうして、触れていたいなんて、言えるわけないもんな。」
薫は優しく微笑んだ。この日もあかりは起きなかった。そして、3日目、病室に来たのは灯籠である。
「あかり、来てやったぞ。」
あかりは声に反応しない。灯籠は椅子に座って脚を組む。
「ふんっ!せっかく来てやったんだ。目ぐらい開けろよ。」
だが、あかりはおきない。
「……あかり。」
灯籠は我慢出来ずにあかりの上に、覆い被さる。
「あかり、お前は僕のなのに、他の男に触られてると思うと、気が気じゃない。だから、早く起きろ!僕のあかりだって言ってくれ!」
灯籠はあかりの額にキスをした。
「今はこれで我慢してやるから。だから。早く、眼を開けろ。」
結局、この日もあかりは目覚めなかった。次の日、3人がもう一度病室に集まる。




