第30話 断章 緑と炬
「ぐすっ……薫君。」
薫と葵の死後の事。緑は1人、公園のブランコで泣いていた。そこに偶然緑を見かけた当時中学生の炬は声をかける。
「あの、大丈夫ですか?」
「っ!あなたは?」
「ぼく、灯火炬って、いいます。兄の知り合いの緑さんですよね?」
「?!どうして私の名前を?」
「以前兄から写真を見せてもらった事があって……よかったらこれ、使ってください。」
炬はハンカチを差し出した。
「……ありがとう。」
炬は何も聞かなかった。そのまま隣のブランコに座ってただただ優しく緑の心に寄り添ってくれた。翌日も公園に緑は寄った。彼に会う為に。そして公園の前を横切ろうとする彼を見つけた。
「あの!」
「!?緑さん?今日もこられてたんですね!」
「あ、うん。これ、返さなきゃって思って……」
緑はハンカチを差し出す。ハンカチは洗濯したいい匂いがほんわり香った。
「あ、ありがとうございます。」
「あと、その、よかったら……」
「?」
「手紙、交換しない?」
「手紙、ですか?」
「うん!」
こうして、2人は手紙を交換する間柄になった。灯籠は弟を忌々しく思った。だが、それでも兄弟であるから殺害には及ばなかった。2人はいつしか相手を思い合う仲になっていった。後に、炬は大学に通う為、東京へ上京した。緑も後を追うように東京の大学へ進学した。手紙のやり取りはずっと続いていた。ある時、炬のアパートへ緑が押しかけてきた。それから2人は一緒に住むようになって結婚した。あかりと言う子供にも恵まれ、幸せに暮らしていた。実家は灯籠が継ぐ事になる。だが、蝋も灯籠も炬も、陰陽師としての才はなく、翡翠が見えなかった。そんな中、炬がリストラにあい村へ帰る事になった。そして、死を越える為、ループすることになったのだった。
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