第28話 振り返った先は……
夏祭りが終わった。昨日は葵と薫が帰ってくるまで灯籠と一緒にいた。2人は無事に帰って来られたのだ。いつもの笑顔がそこにはあった。
「あかりさん、ご飯、これぐらいでしょうか?」
うん、と頷く。薫は相変わらず新聞を読んでいた。
無事に2人を救えたそれは喜ばしい事だった。それにしてもお母さん私の事嫌いなんだなぁ。灯籠君にあんな嘘言うなんて……。
食後、部屋へ戻ると翡翠がいた。
「翡翠様。これでハッピーエンドじゃない?」
「……いや、また戻ってもらう。」
「え?なんで?!2人を救えたじゃない!?」
「……確かに2人は救えた。だが、」
「だが?」
「お前は灯籠との関係を望んでいないだろ?」
「……そんな事」
「諦めただけだろ?自分を2人の為に差し出した。」
「っ!けど!けど他に方法がっ!」
「まだあるんじゃないか?」
「……わからないよ。」
「まあ、そのまま続きを見るがいい。お前はまたループすることになる。」
「?」
あかりは不思議に思った。だってこれで皆幸せだ。なのに翡翠はおかしな事を言う。私が、ループを望む?そんなわけない!もうループなんて懲り懲りだ!これ以上悲惨な現場を見たくなんてない!もう限界なんだ。誰にも傷ついてほしくない!いなくなってほしくない!!そう思っていると灯籠が家にやってきた。葵があかりを呼びにくる。
「あかりさん。灯火君来てますよ。」
「あ、うん!すぐ行く!」
なんの用だろう?
あかりが玄関に行くと灯籠がいる。
「今日はなんの用?」
「お前に会いに来たに決まってるだろ?」
「え、あ、うん。」
「ちょっと、公園にでもいかないか?」
「うん。」
灯籠と共に公園までゆく。
「灯籠君、夏休みの宿題終わった?」
「ああ、終わった。」
「そっかぁ。」
その後夕方まで話した。灯籠はあかりを家まで送る。
「また来てやるよ。」
「うん!」
灯籠が去ってゆく。門をくぐって屋敷に入ろうとした時だった。
「灯火あかり。」
「へ?」
聞き覚えのある声が聞こえた。振り返る。振り返ろうとしたあかりの目の前が赤く染まる。
「あれ……?」
おかしい。横っ腹からドクドクと血が流れている。
なんで?
痛みが走る。振り返った先にいたのは包丁を持った母だった。
「あなたが悪いのよ!私から薫君を奪った!そして、灯火君と言う使い勝手のいい人間も奪った!」
「っ!おか……ぁ、さ、ん……」
朦朧とする意識の中、見たのは別人のような母の顔だった。
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