第23話 薫との未来
夏祭りの日を迎えたあかり。薫との仲は以前より良いものになっていた。夏祭りは結局3人で行く事になった。
「あかり。」
離れないように薫は葵とあかりの手をとった。
「っ!?」
あかりは赤面した。薫の顔を見ようとするが前を先に歩いていて見えない。ほんのり頬が赤くみえる。3人で出店を見て周る。
「何か食べたいものとかあるか?」
薫があかりに問うとあかりは唐揚げ!と答えた。
「ふふっ!お前らしいな。」
なんて笑われてしまう。唐揚げを買いに3人でゆく。
「葵は何か食べたいものはないか?」
「特にないよ。」
そして唐揚げを買って空いていたベンチに座って食べた。
て、食べてる場合じゃない!ちゃんと3人でいることを確認して安堵した。
「あかり、1つくれるか?」
薫から唐揚げを催促される。
「いいよー。はい。」
あ、いや、待て!これでは恋人同士のあーんである。あかりが戸惑っている間に薫は唐揚げを食べた。
「なかなか美味しいな。」
「そ、だね。」
「?顔が赤いぞ?風邪でも引いたのか?」
薫はそういいながら額に手を当てた。手を当てられた箇所が熱く感じる。
「大丈夫だよ。風邪なんて引いてないよ。」
「そうか、葵は他に見たい物とか……」
2人で話ている間に葵は消えていた。
「「?!」」
「葵、どこいったんだあいつ。あかりはあっち探しにいってくれるか?」
「待って!薫君!」
「?なんだ?」
「行かないで……」
あかりが止めたのは、このままでは薫を失ってしまうのではないかとあかりは不安になったからである。
「っ!……あかり。」
「ごめん、無理言ったよね。私あっち探してっ……!?」
あかりの手を薫がとる。
「2人で探そう。お前一人だと迷子になるだろうしな!」
「薫君!」
2人は葵を探した。しかし見つからない。あかりはまさかと思い。雑木林へ行かないかと薫を誘った。
「葵ー!どこだーー!!」
「葵く……っ!?」
そこにあったのはボロボロの葵の姿だった。
「…………」
「…………」
あかりも薫も息を呑んだ。
「あお、い?」
「…………」
また、失ってしまった。もう5度目なのに。薫は涙ぐみながら葵に駆け寄る。
「葵っ!だれがこんな酷いことを!?」
「…………。」
まただ。またダメだった。私は誰も救えない。
「ごめん!ごめんね!薫君!私のせいで葵君がっ!」
「……あかりのせいなんかじゃない。」
「でも、2人で別れて探してたら間に合ってたかも……。」
「……いや、別れて探さなくてよかった。もしかしたらお前まで、葵のようになっていたかもしれない。お前の手を離さなくてよかった。」
「薫、くん?!」
薫はあかりを抱き寄せた。どうしてだろう。私が悪い。私のせいだ。私は全てを知っていながらなにも出来なかったのだから……。
翌日、葵のお葬式が執り行われた。お葬式が終わってから薫君は両親と葵君の入った仏壇をよく拝むようになった。その後の薫君は見るにたえなかった。
葵君が死んだ事を受け入れられずに食事もまともに取らず、学校にも行かなくなった。今までの薫君の見る影もない。
「あおい……。」
「薫君。今日は少しでもいいから食べよう?」
そう言って薫に食事を持っていくが食べてはくれない。
「薫君、葵君だって薫君に生きて欲しいと思うよ!だから食べて!」
「…………あかり。」
「?!」
壊れた薫君はあかりを抱き寄せる。薫の体は以前よりやせ細っていた。
「あかり、俺は酷い兄貴なんだ。」
「へ?」
「葵が死んで、俺は悲しかった。悔しかった。でも、少し嬉しかったんだ。」
「?!」
「お前を葵にとられる事がなくなったから!」
「薫君何を言ってっ!?」
「あかり、好きだ。」
「?!」
薫はそう言った後、あかりを突き放して台所へと向かった。あかりが台所に付いた時には遅かった。薫は自殺した。葵が居なくなった事を喜んだ自分を許せなかったのだ。台所には血の池が出来ていた。
「ひす、い、様……」
あかりは神の名を呼び、眼を閉じる。そして、戻った。あの日に。全てが始まったあの日に。




