第18話 葵との日々
また、転校して薫と葵の家へ居候することになった。
「よろしく。」
もう4回目のよろしくである。今までは行動をして来なかった。だから、今回は動いて見ようと思う。部屋に帰ろうとする葵を捕まえた。
「葵君!」
「はい?なんでしょうか?」
「葵君は何が好きな食べ物ってある?ほら、私も食事当番するわけだし、聞きたいなぁて!」
「好きな食べ物、ですか?うーん、兄さんが作ってくれる味噌汁ですかね。」
「それは私じゃ作れないよ。」
「はい、そうですね。」
「他に何かない?」
「うーん、おにぎりかな?」
「おにぎりが好きなの?」
「はい!ツナマヨが好きです。」
「そうなんだー!へー!」
「あかりさんは何が好きですか?」
「私?私は、ロールキャベツ!」
「ロールキャベツかぁ。作った事ないですね。」
「じゃあ、今度作ってあげるよ!おにぎりも!」
「ありがとうございます!」
そんな話をして別れる。部屋へと戻った。
「うーん、これじゃ、意味が無いよねー。どうすれば……」
「意味がないなんて事無いんじゃないか?今まで慎重になりすぎて動けなかったのと比べれば明らかな進歩だ。」
翡翠の言葉に頷くあかり。このまま葵君ともっと仲良くなってみるのもいいかもしれないと思うあかりだった。翌日の夕食はあかりが作ることになった。あかりはロールキャベツとおにぎりを作る。
「完成!」
完成したロールキャベツとおにぎりを居間へと運ぶ。
「あ、あかりさん。ボクも手伝います!」
「ありがとう!葵君!」
食事を居間へ運んだ時だった。薫が帰ってきた。割烹着姿で玄関へ走る。
「薫君おかえりなさい!」
「ああ、ただいま。今日はお前が作ったんだな。」
「うん!たくさん食べてね!」
3人で食卓を囲んだ。
「あかりさんのロールキャベツ美味しいです!」
「味が薄かったらケチャップかけてもいけるよ!」
「ほー。なるほど、味変になっていいな。」
あかりの洋食は2人に好評でまた頼まれた。食後の皿洗いは葵が当番だった。
「葵君、私もする!」
「え、いいですよ。一人で十分ですから……」
「そっか……」
あかりが少し残念そうな顔をすると葵は笑顔で気持ちだけ受け取っておきますと、言った。
皿洗いが終わるとあかりは葵に詰め寄る。
「葵君はいつから虐められてるの?」
「……それは、その、昔からです。紫源家と灯火家は大昔は仲が良かったらしいんですが、ボク達の世代では仲が悪くなっていて、あっ、でも灯火家のお母さんは優しいので好きですよ。両親が死んでからはよくお世話になってます。」
「そうなんだ!おば、……蝋さん優しいんだね。」
「はい。」
「葵君は何か趣味ってあるの?」
「え?ボクの趣味ですか?とくにないですね。」
「そうなんだね。」
「はい、じゃ、また。」
そう言って部屋に戻ろうとする葵をあかりが止めた。
「葵君、ちょっと話しがあるの。」
「?なんでしょう?」
☆☆☆☆☆
葵の部屋で話すことになった。
「葵君は灯火君のことどう思ってるの?今のままでいいと思ってる?」
「……いえ、このままは嫌です。でも、何もできないんです。ボク、弱いし、力もないし、泣き虫だし、良いところないですから……」
「そんな事ない!葵君は優しいしすっごくいい人だと思う!」
「あかりさん……ありがとうございます。」
「葵君は私が守るから!」
「あかりさん……。」
その言葉に葵は明るい希望の光を感じた。




