第14話 灯籠の優しさ
「あ、お前。」
「へ?」
あかりがどうしようかと困っているとそこに偶然居合わせたのはおじさんと父だった。
「げっ!灯火君!」
「げってな……」
あかりの言葉に反応するより先にあかりを見て言葉を詰まらせた。
「……炬」
「何?兄さん?」
「ここでこいつ見ててくれ。」
「へ?」
「いいから!」
そういうと灯籠はどこかへいってしまった。
「見てろって何よ!」
「大丈夫?お姉さん?」
「だ、大丈夫。」
父からお姉さん扱いされるのは抵抗があった。しばらくすると灯籠が戻ってきた。
「おい、これ。」
灯籠の手には水着があった。
「あっ、それ!」
「タオルで隠しといてやるから早くきろ。」
「……ありがとう!おじさん!」
「そのおじさんっていうのやめろ。」
なんだかんだ言ってもおじさんにも優しい所があるみたいだ。あかりが水着を着ると人混みから薫と葵がやってきた。
「紫源、お前も来てたのか。」
「灯火、お前こそプールなんて珍しいな。」
2人の間に不協和音が流れる。なんとか喧嘩しないようにあかりはいいながら2人の元を去った。
「なんだよ!なんであいつの肩持つんだ!穀潰し!」
「今日は灯火君に助けられたの。だから、喧嘩してほしくなくて……」
「助けられた?」
「何かあったんですか?」
「水着が流されちゃって、困ってたところを灯火君が助けてくれたんだぁ。」
「……ふーん、灯火が。珍しいな。」
「灯火君にも優しい所があるんですね。」
なんて2人は言っていた。その後は3人で楽しく過ごした。家に帰ると疲れたのか3人揃って眠ってしまった。ぐっすりと眠る3人を見て翡翠は優しく微笑んだ。
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流しそうめん大会の日になった。薫は村長と言う事で先に来て仕切っていた。葵とあかりも広場へと向かう。そこでは竹が組まれ、本格的に流しそうめんできるようになっていた。村長の薫が挨拶をしてから流しそうめんを始めた。これを面白く無さそうに見ていたのは灯籠だった。
「なんであいつが村長なんだ。くそっ!」
「兄さんだってそのうち村長二なれるよ!」
「……そうだな。」
灯火とあかりの父はそう話していた。
「薫くーん!」
村長の挨拶が終わると緑が薫に近寄ってくる。
「薫君村長の仕事お疲れ様!さすが薫君!」
「挨拶しただけだろ。大袈裟だな。浮舟は。」
薫の傍にあかりと葵もいた。緑はあかりを見ると嫌そうな顔をした。流しそうめん大会がはじまる。最初のそうめんが流される。
「とうっ!」
「っ!」
あかりと葵はなんとか掴もうするがうまく掴めない。
どんどん流しそうめんが流れてくる。あかりはやっと1束すくう事ができた。
「やった!」
さっそく食べるあかり。葵は全然掴めなくて食べれなかった。薫は流れてないそうめんが振る舞われてそれを食べていた。
流しそうめんを取ろうと場所を変えた時だった。隣りの人にぶつかった。
「あ、すみま……」
「っ!ブス女!」
ぶつかったのは運が悪くおじさんだった。
「誰がブスよ!」
そんな話をしているとそうめんが流れてきた。あかりが取ろうとするがとれない。代わりに叔父がとった。
「ぐぬぬっ!」
得意げにとっている叔父に苛立ちを覚える。そうめんをとろうと頑張るあかり。流しそうめんの竹の下はぬめっていた。あかりはそうめんをとろうとしてなんととったまでは良かった。バランスを崩してズッコケる。
「きゃっ!」
そして運悪く叔父を巻き込んでしまった。
「いったた……」
「なんか、柔らか……」
気がつくと叔父はあかりの胸を握っていた。
「……ばか!!」
その場にバシッん!と大きな音がなった。
「叔父さんのえっち!!」
そういうとあかりは葵と薫の元へと戻ってゆく。
「痛た!あのブス、僕だって好きであんな……あんな……」
灯籠は結構柔らかかったなぁ、なんてちょっと思ってしまった。
「どうしよう!お嫁にいけないよぉ!!」
翡翠にいっていると
「元から貰われる予定なんてないだろ?」
なんて翡翠からひどいことをいわれる。あかりはその言葉に激怒していた。こうして夏休みは進んでゆく。




