-不本意-
帰りのホームルーム前の時間。
みんな帰りの支度をしたり、何もせずに駄弁っていたり、一番騒がしい時間になっていた。
かく言う俺も、帰る支度をしないと後で困るとわかっていながら、クラスの奴らと話してばっかりだった。
今日のこの時間は特に騒がしい。
それもそのはず、修学旅行の自由行動班とその他諸々の班をホームルームで決めるのだ。
担任はまず男子のグループ、女子のグループ各3人をそれぞれ別で決めさせて、その男女グループの組み合わせはくじで決めると言っていた。
「毎年なかなか決まらんし、めんどいからくじにする。」とのことだ。
担任はかなりさっぱりした人で、俺は好きだ。
校内でも人気があるし、球技大会では女子がこぞって写真を撮りに行っていて、それを見ていた俺たちも撮りに行った。
そんな男女の組み合わせが決まるホームルーム前に、数人で集まって班について離していたところだ。
「佑とキノと大輔でしょ?朝陽は別の人と組んでるんだっけ?」
「あー俺、幸田たちと組んでるから別だわ。」
「ふーん。」
美咲たちがいろいろな班のメンバーを聞き回っているようだった。
美咲は学校にいる人のいろいろな噂を知っている。
こう言う風にみんなに聞いているからなのか、と俺は思った。
俺は、いつも一緒にいるキノと大輔との班だった。
キノは青木憲仁と言って、俺がなんとなく「アオキノ」または「リヒト」と呼んでいたら、いつの間にかみんなに「キノ」と呼ばれるようになってしまっていた。
朝陽はいつも一緒にいるけど、今回は班が3人と言うこともあり、同じ部活の奴らと組むらしい。
行先で会えるだろう。
「ねぇぶっちゃけさぁ、ここ組みたくない?」
美咲は自分の方と、俺らの方とで、人差し指を前後に振った。