表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/52

-十分な-

小声で話すとはいえ、いつもは遠いはずの人が、普通よりも気持ち近くにいることにおののきつつ、


 「うん。私も読んでるよ。それにほら、私がいつも新書購入のリクエストを出しているから、」


 私は本棚に指を刺して見せた。

高山くんは首を傾けて話すから、一見目線が近く感じるけれど、男子の中では背の高い方の人だ。

きっと足元には気づかなかったのだろう。

私は、小説コーナーの中の一角にある、本棚の一番下の段を指差した。


 「わ!ほんとじゃん!」


 高山くんはすぐにしゃがんで本の列を凝視した。


 「普通にあった。これ探せないとか、俺目悪すぎん?」


わはは、と軽く笑いながら、高山くんは本を手に取る。


 「多分背が高いからだよ。」


 「んー、てか、木梨さんも背高い方だよな。なんか目線が近い感じ・・・」


 しゃがんだまま高山くんが振り返って、そばに立っている私のことを見上げる。

私の影の下にしゃがんでいる高山くんは、暗がりの中でもほんのり明るく見えた。


 それは多分、首を傾けて話す癖のせいだよ、と、言いそうになってやめた。


 「探してくれてありがとう。これ借りてもいい?」


 高山くんは立ち上がって、本を一冊胸の前で持った。

単行本で1から読み直すつもりらしかった。そういえば私も去年読み直したな。


 私は軽く一歩下がって本を受け取った。


 「うん。じゃあ先に図書館出てていいよ。私もそろそろ帰るから、バーコード読み取ってくる。学生書借りてもいい?」


 「そっか、学生書で借りんのか。・・・これ、お願いします!」


 「はい。すぐ返します。」


私は手続きをして、本を高山くんに渡した。

図書館の鍵を返してくると言うと、なぜか高山くんも付いてきて、一緒に帰ることになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ