ーなんでー
フォン、と明かりがついて、エレベーターが開いた。女子の部屋がある階に行くため、私は一歩足を出す。
「ねぇ。」
後ろから呼ばれて振り返った。
「あ、美咲ちゃん。美咲ちゃんも部屋戻る?」
美琴は笑顔でそう聞いてみたが、美咲ちゃんは腕を組んだままなにも言わない。
私言葉に返事は来ず、誰も乗らないエレベーターが静かに閉まった。
「えっと、あの、乗らない?の?」
「乗らない。」
私がもう一度ボタンを押そうとすると、美咲ちゃんは強くそう言った。
美咲ちゃんが何か言いにきたのだと察し、私はボタンを押すのをやめた。
美咲ちゃんが深く息を吐いて話し始める。
「あのさ、いつ仲良くなったわけ?」
美咲ちゃんは腕を組んだままこちらを睨んでいる。
こんなに目の前で敵意を向けられることは少ないので、私はどうしようもなく体が縮こまってしまった。
けれど、「誰と?」と聞くのはやめた。
「たまに話す機会があって、それで。」
「ふうん。なにそれ知らないんだけど。どこで。」
「・・・・えと、図書館。・・・。」
場所を言いたくなくて、濁したけれど、どこでと聞かれたら答えざるおえなかった。
なるべくなんでもないような口調で話したいけれど、美咲ちゃんの雰囲気がそれを許してはくれない。
「図書館?佑が行くわけないじゃんそんなとこ。」
「・・・・。」
そんなとこ、と言われて、私は言葉に迷ってしまう。
言葉を探す。
自分の気持ちをあらわにしない言葉を。
私はいつも通りの笑顔を作って伝えた。
「ううん。来るよ、高山くんは。」
言葉には、少しだけ隠しきれない感情が乗った。




