-行き着く-
あらかた本の整理を終えて、残っているのはもう数冊ほど。分厚い本の表紙は日焼けて爛れていた。
何冊か持って、入り口のカウンターから見て右奥の本棚に向かう。
図書館の中には4つ部屋があり、扉のないアーチのくぐり戸で横に繋がる構造だ。
私が今いる部屋は、本の貸し借りのカウンターがあるけれど、他の部屋には本棚と机や椅子のみ。
この部屋にも机や椅子はあるが他の設備はない。
そして、そもそも来る人は少ないので、私の所属している文化部の仕事はほとんどなく、他にこの仕事をやりたがる人がいないため、いつも私がいる。
しかし、ただ本を読んでいるだけなのでそれほど苦痛はないし、文化部の人とも仲良くやっているので問題はない。
そもそも、今図書館にいる人はいるのだろうか。
周りを見回そうとすると、急に入り口の扉が開けられた。
少しの驚きで、しっかりと目が合ってしまったことに気づき、少し目を伏せてから何事もなく本棚へ視線を戻す。
いつも通りに本を棚に戻した。
頭の中で、いつも通り、と言っている時点で平常ではない証拠だが、次第にいつも通りになり、私は次の本を手に持った。
図書館に光が入ってきたみたいだった。
目を奪うのは無理もなかっただろう。
ただ、いつもそれらは同じもの同士で集まって、大きく発光しているというのに、その中の一粒が独りでに漂っているのは、なかなか異質なものに感じた。しかも、こんな場所に、いちばんの光が。
明るさは、アーチの通路を抜けて行った。
気になる本でもあったのかな。
カウンターに座っていると、足音が一つだけする。
左側の部屋はさっき見回ってきたが、誰もいなかった。
どうやら、もう私とあの人しかいないようだ。
あの人は右側の部屋にいるみたいだけれど、どうしたことだろうか。正直もう図書館を閉めていい時間なのに、一向に戻ってこない。
この後予定もないし、催促する理由もなかったので、私は自分の本を読んでしばらく待つことにした。左の部屋は小説が多く置かれている部屋だ。